電波制御とコスト削減が大きな課題

電子タグを用いた無人レジや商品の一括検品などの実験を見ると、その便利さから早くすべてのコンビニで実用化すればいいのではないかと思ってしまうが、現時点ではいくつかの課題があるという。

まずは電波強度の問題だ。カゴの中に数十点もの商品を詰め込むと、電波が届かず正確にタグの情報を読み取れない可能性がある。電波の読み取り範囲を拡大した場合、後ろに並んでいる人の商品や、近くに陳列している商品まで読み取ってしまうのだという。

次にコスト面。現在は、電子タグのコストが1枚当たり10円前後のため、まだまだ流通業界では実用化できる段階ではないという。DNPでは2020年までに5円へのコスト削減を、経済産業省のプランでは2025年までに1円へのコスト削減を目標として掲げているが、単にコストを下げればいいのではなく、電子タグの活用によってどのような価値を生み出せるかもポイント。導入によって大きな効果を得られるのであれば、単価が10円であろうとも、十分に導入する価値はあるだろう。

電子タグが全国的に普及すれば、作業の効率化によって人材不足の問題を解消できるだけでなく、どの地域、どの時間帯で、どの商品が売れたのかといったデータをリアルタイムに把握できるようになり、商品補充の効率化やマーケティングでの活用にも期待できる。小売店舗だけでなく配送事業者やメーカーなどにとっても重要なデータを得られるはずだ。

もちろん、消費者にとっても、レジ待ちの時間が解消されることは、うれしい限りである。