「半導体業界」:中国での量産が徐々に増加へ

2017年には世界の先進半導体メーカーで、10nmプロセス技術を使った量産が可能になるので、グローバルなデジタルIC製造業の売上高は上昇し続けることが期待される一方で、スマートフォンの需要減退で平均販売価格の上昇は難しいことも見込まれる。このため、半導体メーカーの製品マージンは圧搾されるだろうとTrendForceでは予想している。

また、2017年より徐々に進められていくことになる中国での半導体の量産は、グローバルな半導体市場に大きな影響を与えるようになる可能性がある。この中国中央政府の方針にもとづく半導体量産計画は、投資資金と技術がうまく融合するかどうかにかかっている。中国勢が米国半導体企業を買収したり、先端半導体技術の有償供与を求めるなどの話が出回っているが、米国のトランプ次期大統領の下で米国政府の承認が下りるか否か注目される。

「ディスプレイ業界」:有機ELのスマホ搭載は2019年に4割超

新たなパネル技術でディスプレイ性能を向上させる試みは、近年のスマートフォン市場の主流となっている。現在、有力スマートフォンメーカーは、消費者の需要を喚起するため、有機ELディスプレイに期待をかけている。

TrendForceのディスプレイ市場調査部門WitsViewの調査マネージャーBoyee Fan氏は、「スマートフォンへの有機ELディスプレイ搭載率は2016年で22%だが、2019年には42%へ上昇する」と見ている。有機ELパネルの生産能力は、2017年に前年比46%増の890万平方メートルに達する見通しだという。この生産能の増加はSamsung Display(SDC)によるところが大きい。同社はSamsungグループ内からだけではなくAppleからも受注している。

Fan氏によると、「中国のスマートフォンメーカーも、有機ELディスプレイを搭載したがって必死になっている。しかしSDCはこれらの中国メーカーを満足させられないだろう。供給不足で、中国勢は2017年に有機EL不足に見舞われるのは必至の情勢だ」と、まだまだ生産能力不足であり、さらなる設備投資が期待されるという。

「家電業界」:スマホを中心とした主要家電は好調

2017年は、5つの主要な家電製品(液晶テレビ、液晶モニタ、ノートPC、タブレット、およびスマートフォン)の分野でブランド力があるベンダが収益を上げるだろうとTrendForceは分析している。

消費者ニーズに呼応して、液晶テレビのサイズと解像度は増大するほか、さらに多くのスマートな機能とインターネット接続サービスを搭載するようになる。液晶モニタは、サイズがさらに増加し、視野角はさらに広くなる方向で、各メーカーはニッチなマーケット向けに注力することが見込まれるという。ノートPCは、フルHDのような高解像度ディスプレイが増加することが見込まれるほか、タブレットは、他の機器市場に比べて、相対的に静かな動きとなる見通しだ。これは、タブレットは低価格モデルが主流であり、それらの製品マージンを増やすことが難しいことから、ブランド力のあるベンダがタブレット開発に注力することが見込めないためであるという。

そしてスマートフォンは、Appleをはじめとして有機ELディスプレイが搭載された機器の数が増大することが見込まれる。スマートフォンの出荷数は、拡大することが見込まれるが、有機ELパネルの供給不足が生じるため、最終製品の出荷に影響する可能性があるという。