「このような活用が進んでいるのも、約200社のパートナー会社によるアプリ開発が活発化しているからです」と吉田氏。中でもPepper普及のキラーアプリとして注目を集めているのが、米IBMが開発した人と同じように情報から学び、経験から学習するコグニティブ・テクノロジー「Watson(ワトソン)」だ。2015年2月、ソフトバンクテレコムは日本IBMとワトソンの日本での事業展開においての戦略的提携を発表。もちろん、Pepperとの連携を視野に入れての提携だ。
「例えば、FAQのインタフェースとしてPepperを使うとしましょう。Pepper単体であれば、FAQデータベースに完全マッチしたものしか答えることはできませんが、ワトソンと連携すれば、データベースの中で最も近いモノを選んで答えられるようになります。つまり、ファジーな会話ができるようになり、より人間らしいやり取りができます。このことから、ワトソンは将来のロボットアプリのスタンダードになっているかもしれません」と吉田氏はワトソン導入効果を期待する。
提携はIBMだけではない。約200社のパートナーが、Pepperをさまざまなシーンで活用できるようにアプリの開発を行っており、「Pepper for biz」においては、アプリストアも16年早々にはスタートする予定だ。一方、個人向けのアプリについては、アプリストアという形は予定していないという。
「個人向けはリスクが大きいと思います。例えば、悪意ある人が改ざんして人を傷つけたりすることが起こらないとも限らないですから。良いアプリは私たちが買い付けて、徹底検証をしてから公開するという方法を採用しようと思っています」と吉田氏はその理由を説明する。
今後はグローバル化
今後の展望については「グローバルに展開」と吉田氏は言い切る。ブロードバンドのように爆発的な普及をするには、この1年でCPUのスピードや基本機能したとはいえ、今のPepperではまだ力不足だという。
「現在のPepperは登場した当時のパソコンと同じで、ようやく表計算ソフトが搭載されたというレベルです。爆発的な普及のカギを握るのは、私たちの夢に賛同してくれたパートナー企業がより良いアプリやソリューションをいかに開発していってくれるかです。2016年にはそういう企業がさまざまなアプリやソリューションの提供を予定しているので、飛躍の年になると思います」と吉田氏。
吉田氏が語るように、2016年はPepperの普及がさらに進むのか、また面白い活用事例が出てくるのか、今後に期待が高まる。