冒頭で記載したように、Pepperはすでにさまざまな企業での活用が進んでいる。では、導入して1年になるネスレ日本では、いったいどんな効果が得られたのだろうか?

ソフトバンク ロボティクス 事業推進本部 本部長 吉田健一氏

「Pepper導入の効果の第一は、Pepperを配備したことでコーヒーマシンの売り上げが伸びたことです。サイネージでは足を止めなかった人が、Pepperなら足を止めるんです。これは数字にも表れています。加えて、ネスレショップに訪れた人の属性や動向などのデータが取れることも大きなメリットです」(吉田氏)

これまでリアルの店舗では、eコマースのようにどんな人がどういう経路でショップに訪れ、購入に至ったのか、あるいは至らなかったのかということが把握できなかった。しかし、Pepperでは搭載したセンサーによって顧客の属性を取得することができる。Pepperを導入すれば、Pepperの前を通った人が何人いて、そのうちの何人がショップに入ったのか、またPepperが話しかけることで、その人の性別やおおよその年齢などがわかるようになる。さらに、顧客の感情なども表情や声のトーンから読み取ることができるという。

つまり、Pepperが蓄積するデータを活用することで、どんな風にコミュニケーションをとれば顧客が購入してくれるのか、それを年代別や性別により良い手法を導き出すことができる。Webサイトでよく用いられているABテストのようなものが、Pepperを導入すれば実行できるというわけだ。

「Pepperが収集した顧客情報をオンラインtoオフラインのツールとして活用できることがわかりました」と吉田氏は自信を深める。

また、ある病院ではMRIの説明や問診を担当させていたり、別の介護施設では認知症予防のツールとして活用しているという。