さて基調講演そのものはこんな形で終了したが、いくつか気が付いたことを。冒頭でもちょっと触れたが、ルネサスは社内に蓄積されたさまざまな技術の総ざらえが一通り済み、これを組み合わせた提案が出来るという次のフェーズに移ったように思われた。総ざらえというのは何か? というと、例えば昨年の作田会長のインタビューの中でも、「既存の技術で磨きをかけていくところと、自ら磨きを掛けるにはやや心もとないところ、それと(外部から)購入しないといけない部分。そうしたものを、いつごろにどの程度の金額をかけて、という戦略マップがあり、現在はそこのところで議論をしている段階である」という話があった。

あるいは高橋氏のインタビューの中でも、「それは、我々としては純粋にマーケットでビジネスをこういう風に変えてゆく上で、こういうIPが足りないとか、こういうソリューションが足りないとか、そういう言い方になります。結果としてのM&Aの判断は経営企画の方でやりますが、そこに対して進言する形になります」という話が出てきた。

要するに足りない要素は何らかの形で手に入れる必要があるが、そのためにはまず手元にどんな技術があるのか、を明確にする必要がある。これの見極めが終わった結果として、今回で言えばPhoto13のSOTBとかPhoto20のTSIPなどを前面に打ち出しても問題ない、と判断されたのではないかと思われる。あるいは、元々ルネサスはワイヤレス分野がやや弱いと[作田会長が発言されていた( http://news.mynavi.jp/articles/2014/10/09/renesas_sakuta/001.html )(動画の冒頭)が、今回RL78/G1Dをスライドを4枚も使って紹介したというのは、こうした分野に関して一定の対策が済んだというアピールと見做すのはやや穿ちすぎだろうか?

全体として、色々模索していた時期を脱し、明確に顧客に対してストーリーを提示できるような分野が用意出来るようになった、という事を暗に示す基調講演であり、展示はさらにこれを強調する形で行われた。というわけで次は展示会場の様子をレポートしたい。