大手企業向けにも、クラウドビジネスをさらに加速する姿勢をみせる。
日本マイクロソフトのエンタープライズビジネス担当の小原琢哉執行役専務は、「顧客ニーズにおいても、Mobile first,Cloud firstの流れが生まれている」と前置きし、「BDM(ビジネス・ディシジョン・メーカー)と呼ばれる人たちは、ITを活用することで、どれだけ競争力を高めることができるのかといったことを真剣に考えている。
そのなかで、モバイルデバイスの活用や、クラウドサービスの活用は重要な鍵になっている。パートナー各社にとっても、製品そのものを売るのではなく、シナリオをみせて、競争力を高めることができる提案をきちんとできるかどうかが試される段階にある」と指摘する。
そうしたなか、マイクロソフトでは、オラクルやセールスフォース・ドットコム、SAPとも連携。
「すべてのものを取り込むことで、ITを活用した生産性向上とプラットフォームの提供を実現することができる。また、オンプレミスからクラウド、モバイルデバイスといったように、ここまで製品が揃っているベンダーはほかにはない。その結果、ロングレンジでのグランドデザインを描くことができ、そこにパートナーのソリューションと組み合わせたシナリオ提案ができる」とする。
一方、米Microsoft Enterprise & Partner GroupのSusan Hauserコーポレートバイスプレジデントは、「Microsoft Azureを中心に、クラウドスペシャリストの育成に取り組みたい」とする。
これは専門知識を持った業種別のエキスパートであり、それぞれの業種ごとの提案を加速することが狙いだ。
日本マイクロソフトでも同様の取り組みを開始する。これまで6業種を重点業種としていたものを11業種にまで拡張。より深堀した形で業種展開を図るという。
日本マイクロソフトの小原執行役専務は、「インダストリコミュニティの名称で展開し、技術者や製品担当でも、その業種に関わるビジネスの話ができる知識を蓄積し、パートナーの支援にもつなげる」とする。
また、パートナーとの連携により、ソリューションカタログを強化。さらに、今年度は、IoTに関する提案も加速し、ビッグデータとAzureとの連動定提案も進めたいという。
マイクロソフト社内では最近、「イート&トランスフォーム」という言葉が使われているという。
これは、エンタープライズビジネスにおいて、SQL Serverなどのオンプレミスでの事業において、一定量のビジネスを維持することで利益を確保。その一方で、クラウドビジネスへとトランスフォームしていくというものだ。ここでは、既存のビジネスをベースにしながら、Office 365やMicrosoft Azure、Dynamics CRM Onlineによるシナリオ提案を加速するといったことも含まれる。
「新たなビジネスを推進するための人材育成にも力を注ぐ。また、Office 365を導入している企業に、Microsoft Azure、Dynamics CRM Onlineを提案をしていくことで、クラウドビジネスを加速する」と、米マイクロソフトのHauserコーポレートバイスプレジデントは語る。
同社によると、クラウド市場は、2020年には年間2,900億ドルの市場になると試算している。
ケビン・ターナーCOOは、「桁はずれのビジネスチャンスが生まれることになる。パートナーもこの成長を自分たちのものにしていく必要がある」とし、「パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドの3つのクラウドサービスを提供できるのはマイクロソフトだけだ。また、ガートナーのMagic Quadrantsにおいて、IaaS、PaaS、パブリックラウドサービス、x86の仮想化という4つの項目でリーダーになっているのは当社だけである。これは顧客に対して、選択肢を与え、最適なサービスを提供することにつながっている。ここにマイクロソフトのクラウドサービスの強みがある。クラウドビジネスの成長において、これまで以上に、パートナーの力を貸してほしい」とする。
ターナーCOOは、現在、5万3,000社のクラウドバートナーを今後1年間で10万社増やし、15万社の規模にまで拡大させると意気込む。
マイクロソフトのビジネスの90%以上がパートナー経由によるもの。これは「Mobile first,Cloud first」の時代においても変わらない。それを改めて強調したのが、Microsoft Worldwide Partner Conference 2014であったといえる。