女性アナウンサーによるアナウンサー指導も受けている「コドモロイド」

ニュースの内容は、子供の姿をしているから、ほほえましい誰もが軽く聞けるニュースを読み上げるのかというと実はそうではない。宇宙天気予報はまだしも、結構シビアな問題を抱えた地球上のさまざまな出来事も扱う。しかも、コドモロイドは見た目はご覧の通り、社会的に弱い存在である子供である。また、地球や人類の未来を託す希望的存在でもある。そんなコドモロイドが、アンドロイドだから当たり前といえば当たり前なのだが、それを淡々と読み上げるのだ。

これはヒトでもアンドロイドでも大人(大人型)が同じようにした場合、サラっと流されてしまうところだが、それが子供の外見と声だと、思わず「この子、結構シビアなニュースを平然と読むなぁ…」と、ドキっとしてしまうのである。これまでなら子供の扱いが置き去りにされているところを、子供の姿をしたアンドロイドが読み上げることで、重みが伝わるのだ。アート作品という位置付けでもあるのは、実はこうして社会への問いを投げかけているからでもあるのだ。

そんな彼女の姿は前述したように未来館内の複数あるモニターで見られるわけだが、彼女の姿を生で見られるのは、オトナロイドやテレノイドのいるのとは反対側の、3Fの入り口から右側に向かい、現在、第12期展示を行っているメディアラボの正面、「零壱庵」内に新設されたスタジオだ。

しかし、このスタジオ、はっきりいって筆者個人の意見をいわせてもらうと、結構見づらい。その見づらいということよりも、妙に閉鎖的であまり見た感じがよろしくない。密室に近いスタジオの正面にスリット的にのぞき込むための横に長く細い窓が設けられており、そこから中のコドモロイドのアナウンサーぶりを見られるという仕組みだ(画像30)。確かに中はスタジオっぽいが、なんかガッチリ覆われていて、耐爆シェルターといった感じである。

都心部の表通りに面してオンエア中の様子を見られるラジオ局の公開スタジオなどがあるが、そういうスタジオのように、もっと前面にガラスやアクリル板などを使って、見通しのいい感じにすべきだったのではないかと思うのだが。これはおそらくだが、もしかしたら、近年は携帯電話のスマホ化に伴って、電波を発信する機器がとんでもなく増えているので、そうした電波の影響を極力減らそうという狙いと思われる。

画像30。コドモロイドのスタジオで働いている様子

さて、コドモロイドに関するトピックとしては、そのアナウンサー業務に関連して、内覧会で司会を担当したセント・フォース所属の女性アナウンサーの中田有紀氏より指導を受け、アナウンサー研修を行っている。以前のジェミノイドは人が直接話す機能しかなかったそうだが、今回はテキストを入力するとその通りに話してくれ、ピッチなども変えられるので、早口言葉を早口言葉らしく発話できたりする。ちなみに内覧会では、将来のアナウンサー研修の様子として、コドモロイドが女子アナウンサーの卵の中に混じり、中田氏の指導を受けている動画も披露された。

それから、コドモロイドは未来館の対外的な顔としての役割も担うということで、その一環として7月2日からスタートした企画展「トイレ? 行っトイレ! ~ボクらのうんちと地球のみらい」(画像31)の広報活動として、同企画展のTVCMに登場するという。見かけた方は、ぜひそのがんばりぶりを見届けてあげてほしい。あと、コドモロイドに関してはモデルはいないとのことである。

画像31。企画展「トイレ? 行っトイレ! ~ボクらのうんちと地球のみらい」のメインビジュアル