シンプルなハードウェア構成だからこそできることがある

--次のRaspberry Piに関して何か予定はありますか?今はType AとType Bがありますよね?

もうType Cは持ってるかい?(笑)。まじめに答えると、今のところ予定はない。我々はRevision 2をリリースしており、次にRevision 3を予定しているが、これは若干の変更に過ぎない。

--Revision 1/2/3の違いはなんでしょう?

Revision 2にはRevision 1にないMounting Hallがあけられているのが大きな相違点だ。回路的にはResetとかGPIO、USB、HDMIなど、いくつかの信号ピンの違いがある。で、Revision 3はRevision 2と異なるPassive Lineを持つ。これはUSBの信号品質を上げるためだ。LEDの配置なども変わるかもしれない。ただ全体としては、これも僅かな違いに過ぎない。根本的な変化は一切ない。メモリ量とかプロセッサとか、そういったものは一切変わらない。

Raspberry Pi

我々はソフトウェアの開発に資金を費やす事にしており、これによりRaspberry Piが多くの人々をひきつける事に成功している。今現在、130万個のRaspberry Piが世界に存在している。これはまったく新しいハードウェアプラットフォームであり、これが普及したのは適切なソフトウェアがあったからだ。

--ちょっとArduinoの話を。例えばArduinoなら、普通のDuo以外にArduino MicroからArduino MEGAまで、異なるフォームファクタで異なる能力のものが用意されています。

我々はRaspberry Piをシンプルに保つ事に留意した。この結果として、例えばRaspberry Piを産業向けに利用することも容易になっている。フォームファクタを1種類に絞ったからこそ、一般ユーザーから産業用まで幅広く利用できることになっている。

--ただRaspberry Piに使われているBroadcom BCM2835は、ARM11ベースのもので、今ではそれほどパワフルとは言えませんよね。例えばBeagleBoneなどの競合する製品と比べるとそう思います。もちろん性能が一番重要というわけではないとは思いますが。

BeagleBoneとベンチマークしたことがあるが、確かに早かった。TIのプレスリリースにもその事は載ってるよね。まぁそんな事もあって、これに関しては注意して話すようにしている。

--まぁそうなんですが、例えばBroadcomは様々な製品を出していて、BCM2835よりずっと高速なSoCも一杯あると思うのですが?

実のところ、CPUというのはSoCのシリコンの中で3%くらいの面積しか占めていない。残りは全部その他の回路だ。確かに、こうしたことそのものにも興味はある。ただRaspberry Piのターゲットは子供向けの教育用だ。だから、あるいは子供用にビデオを再生するとか、HDTVの上でMinecraftの様なコンピュータゲームを走らせるといった事が目的である。こうした目的を考えたときに、BCM2835というのは非常に良いチョイスであると考えている。もうWaylandのVideoは見たかい? あれは非常に良いサンプルになると思う。Raspberry Piの90%位の用途はこうした使われ方になる。

--ところで個人的には入出力がDigitalだけというのがちょっと不便で。ADCの様なアナログ入出力もあるとすごく便利なんですが。

確かに個人的にはADCがあるとすごくいいとは思う。ただそれは小さなチップを外付けにすれば済む問題だ。もう少し一般的に言えば、これ(Raspberry Pi)が成功した理由は、コンサバティブな構成を取った事だと思う。我々は、残り10%のユーザーのためだけに追加の機能を追加したりはしないつもりだ。そうした10%のユーザーは追加コストを払って、拡張ボードを追加するといった形にすべきだと思う。だから、もしそうしたアナログ入力が幅広く利用されるような時が来たら、それは追加するだろう。ただそれが何時か、は今のところわからない

--でも10%といってもRaspberry Piが100万台(現在は200万台)以上出ているわけですから、10万人という計算になります。これは結構大きな人数ですよね?

それは確かにそうだ(笑)。ただ実際には色々と、例えばこのオーディオコネクタの値段はいくらになって、コネクタの製造会社はどれだけの売り上げになるのか。そうした事も当然考えに入れる必要がある。