--最初に優勝した感想をお聞かせいただきたいと思います。まずは、年長のSBからお願いできますか。

SB:本当に、夢みたいですね。でも、本当に嬉しさで言葉が出てこないぐらいです。正直、ここに至るまでビシッとパフォーマンスが決まったことがなかったので(笑)、本番でこれだけ決まるとは思っていなかったですね。優勝したということも嬉しいんですけど、それ以上に、我々が考えていた以上のパフォーマンスをやりきれたという達成感の方がすごく大きいです(画像5)。

画像5。SBのメンバー。左から2番目の黒い服の方がリーダー。その右が、マイクパフォーマンス担当の方

--本番に強かったんですね。でも、それまでうまくいってなかったのに、本番でちゃんといくという自信はどれぐらいあったんですか? 80%ぐらいで、ある程度は自信があったのか、それとも30%ぐらいで賭けに出たんですか?

SB:リーダーとしては80%ぐらい自信があったといいたいところですけど、みんなはどう?。

SBのマイクパフォーマンス担当の方(画像6):2回目のところまでは7~8割は自信がありましたけど、最後のは本当に昨晩、急遽仕込んだので、そこを含めると、五分五分ってところですねぇ。

--勝負に出たということですね。

SB:そうですね。勝負に出ました。

SBの別のメンバーの方:組み込みの世界って、確率を上げろっていわれますよね。実際のところ、7割でもまだまだですから。

--もう1回やってみてといわれても、できそうですか?

SB:自信はあります。そういう意味では、アーキテクトはどれだけパフォーマンスが大事かというのはわかっていたので、出てきてしまう粗のようなものは演出でカバーすればいいと。まぁ、ちょっとズルいですけど、狙っていたところもありましたので。ですので、もう1回やれといわれても、そこはまたうまくカバーしてやりきる自信はあります。

--やはり、どのチームもマイクパフォーマンスが重要ということを理解されていたようで、当然ですが、しゃべりの上手な人を配置していますよね。予想外のアクシデントが起きても、ピンチはチャンスとばかりに、機転を利かせてそれすらもネタとして利用してしまうというか。SBでもそういう才能のある方に担当してもらったわけですよね?

SB:えぇ、そこを見込んで、彼は営業の人間なんですけど、無理矢理(笑)入ってもらいました。

SBのマイクパフォーマンス担当の方:はい。僕は営業なので、実は実装は一切やってないんですよ。

--マイクパフォーマンス担当は重要ですよね。やはり会場の雰囲気をどう作ったか、どう温めたかで会場審査員の評価には絶対に影響が出ますよね。そこは間違いなく優秀なメンバーだったと。どうですか? 人前に立ってパフォーマンスするというのは?

SBのマイクパフォーマンス担当の方:実は慣れているというだけであって、イヤでイヤでしょうがないんですよ(メンバー笑)。

画像6。SBの競技のスタート直後、マイクパフォーマンス担当の方は「面白そうな話をしてくれそう」というオーラがある

--そうなんですか。とても面白いことを話してくれそうな雰囲気がありますが。緊張はされました?

SBのマイクパフォーマンス担当の方:我々の会社では、中部と東京と合わせてCS大会には3チームが出場していまして、デベロッパーで2チーム(画像7・8)と、アーキテクトで我々が1チームなんですね。同じ名古屋のデベロッパーのチームが、当初は優勝できるんじゃないかというぐらいの完成度だったんです。しかし、実際に本番で走ったら全然ダメで、その後、かなりプレッシャーがかかりはじめて(笑)。あちこちから電話がかかって来て、その度にデベロッパーがダメだったと伝えると、「後は期待する」って(メンバー笑)。

画像7(左):SBと同じSCSK 中部システム事業本部のYoungMasters。残念ながらあまり好成績は出せなかった。 画像8(右):SCSKの東京チームであるProject VDM。東京地区代表のチームの1つとして期待されたが、アウトコースのリモートスタートに失敗して大きなタイムロスをしたのが痛かった

--上司の方もかなり期待されていたわけですね。

SB:もう大勢からかかってきて、表彰台の上でも鳴っていたほどです(笑)。

--会社としても、それだけ優勝は悲願だったということでしょう。

SBのマイクパフォーマンス担当の方:そうですね。やるからには勝て、という具合なので、だいぶバックアップしてくれました。でも実は、結構ギリギリでした。自分たちが次だという段階になって、「PCがフリーズしました」とかいわれて、もう「マジか!?」みたいな(笑)。

--よく、そこからリカバリできましたね。

SBのPC担当の方:はい。前のチームが片付けているところでしたので、最初からやり直して、ギリギリなんとか持ち直しました。

SB:フリーズした、といって電源を落とした瞬間、フリーズしていなかったのがわかったりとかでしたね(笑)。

--では、かなり水面下ではドタバタしながらだったと。それを表に出さなかったのはやはりプロですね。

SB:そうですね。それは見せないようには努めました。

--まぁ、実際の業務として考えれば、納期が目前で開発がどんな状況であっても、実際にシステムを使うお客さんにはそれは関係がないわけですしね。今回でいえば、会場審査委員の方々がお客さんなわけですが、そういう水面下のドタバタを評価してくれるわけではない。そこを見せなかったのは、エンジニアとして、チームとしてちゃんとできていたのではないでしょうか。

SBのベテランエンジニアの方:実は昨日も、我々のロボットのアームがボキッと折れて、もう「ボンドや!! ボンド!!」とか、結構バタバタでしたよ(画像9)。

--アームが折れたら、肝心の物を持ち上げるという作業がまったくできませんよね? それは大変だったんじゃないかと。しかも、昨日の話ですよね?

SB:いやー、もう傷だらけですね(笑)。念入りにテストをし過ぎて、疲労してしまったんですね。疲労骨折です(笑)。

--名誉の負傷ですね。そこまでやり込まないと、今回の勝ちにつながらなかったということなんでしょう。

SB:なかなかあと1歩の精度が上がりきらないところがあったので…。

画像9。SBのお片付けロボット。このアームが、CS大会前日にボッキリ折れていたとは信じられない