初開催となったアーキテクト部門でいきなりのW優勝
2013年11月20日に、毎年恒例のパシフィコ横浜にて開催された、ETロボコン2013チャンピオンシップ(CS)大会。全国11の地区大会の表彰台に入った強豪が集う、全国大会である。そちらの模様は、すでにレポート済みなので、気になるそちらもお読みいただきたい。
今年は"アーキテクト"という、より創意工夫が求められる新部門が設立され、CS大会でも全国で高い評価を得たアーキテクトの優勝チームなどが参加した。そして、予想以上に面白く大好評で、アーキテクトの新設は大成功という具合だったというわけだ。
なお、東京地区大会の模様もレポートしているので、興味を持った方は合わせてお読みいただけると、よりETロボコン、そしてこの新設されたアーキテクトをご理解いただけるものと思う。
さて、CS大会2013のアーキテクトはもちろん今回が1回目だったのだが、なんと、幸先が良いというか、今後が楽しみというか、2チームが優勝という結末となった。中四国代表の宇部工業高等専門学校ETロボコン同好会の「男子力∞MAKOTO(だんしりょく・いんふぃにてぃー・まこと)」(画像1・2)と、東海地区代表のSCSK(株) 中部システム事業本部の「SpecialBoys」(画像3・4)の2チームである。学生チームで11名編制の男子力∞MAKOTOと、営業マンも含めたベテラン企業戦士5名が集まったSpecialBoysという、好対照の両チームだ。
画像1(左):宇部工業高等専門学校ETロボコン同好会の「男子力∞MAKOTO」のメンバー。 画像2(右):RPG風のストーリー仕立てで、勇者(走行体)が博士の力を借りてハカセタンクと合体してパワーアップし、魔王にさらわれたお姫様を救出に行くという話 |
画像3(左):SCSK(株)中部システム事業本部の「SpecialBoys」。 画像4(右):お片付けロボット。私の部屋も、Kinectとこのロボットがあれば、片付けてもらえるのでは? と期待できるのが素晴らしかった |
勝利の鍵は、どれだけ会場を沸かせられるか!
アーキテクトは、本部審査員による企画審査点(100点満点)が事前につけられ、当日はその企画と実際のパフォーマンスがその通りかどうかを同じく本部審査員によって見極められて一致性審査点(100点満点)がつけられる。そして何も事前情報がない形で、当日のマイクパフォーマンスや実際のロボットのパフォーマンスを見て会場審査員40名が1人持ち点2点(1点×2)で評価し、それを合計して1点につき2.5倍にしたのが会場審査点(200点満点)だ。
つまり合計400点で争われ、合計得点が同点の場合は会場審査点、一致性審査点、企画審査点の順(実際には会場審査点と一致性審査点が同点だったら、自動的に企画審査点も同点になってしまうので、前の2つでの判断となる)で順位付けが行われるのだが、今回の2チームはそれらがまるっきり同点の337.5点(企画80点/一致性80点/会場177.5点)で、W優勝となったわけだ。
少し裏話をしておくと、毎年、弊誌によるインタビューは優勝チームに行ってきたが、去年までは今年のデベロッパーに当たる1部門しかなかったので優勝チームが複数あることはなかった。ただし今年はアーキテクトが新設された関係で、どちらの部門にインタビューするか、ETロボコン実行委員会本部・運営委員と編集部の間で話し合いが持たれ、悩んだがやはりより難易度の高いことに挑戦しているということで、アーキテクトの優勝チームに決定した。ただし、そのアーキテクトでW優勝が出るとは予想していなかったので、結局2チームの合同インタビューとなった(笑)。
それにしても、筆者の個人的な感想としては、会場審査員40人の内の1人の1点分、つまり会場審査点200点満点中の2.5点になるのだが、そのわずかな差で優勝と準優勝の差がついてしまうのもやるせないものがあるので、これでよかったのではないかと思う次第だ。
それでは、前置きが長くなったが、インタビューを始めたい。なお、今回は両チーム、特に男子力∞MAKOTOは10名を超える大所帯で、2チーム合計で男子力∞MAKOTOの引率の先生も含めると17名になるため、選手個人の発言として個人名を明記していくと、混乱は必至であることから、基本はチームリーダーにコメントしてもらい、異なる方の発言は、事前に役割などをカッコして表記する形でまとめさせていただいた。本来は個別にインタビューを行えれば一番なのだが、会場や時間の都合などもあり、合同インタビューとして大会直後に行った。なお、SpecialBoysは「SB」、男子力∞MAKOTOは「男∞M」と略させていただいている。