入社、おめでとうございます。皆さんの入社を心から歓迎いたします。

本日入社式を迎えるにあたり、皆さんそれぞれ心に期するものがあると思いますが、ひとつだけ共有しておきたいことがあります。 昨年3月11日の震災から1年を経て、2012年は日本の復興元年といわれています。その2012年に入社した皆さんは、日本の再生、復興に向けての重要なエンジンとなり、復興を支えていかなくてはなりません。皆さんの役割は、単に元の状態の日本に戻すのではなく、新しい日本に創り変えていくことです。皆さんが原動力となって、新しい日本に創り変えていくという責任と自覚を持っていただきたいと思いますし、私もそれを支えていくことを約束します。これを共通の目標として、社会人の第一歩を踏み出してほしいと思います。

さて2012年、日本を取り巻く状況を見てみますと、昨年の欧州の通貨危機から円高は止まらず世界的に不透明な経済環境が続いています。日本国内においても原発問題を抱えたまま、今年の夏も節電、省エネかといわれており、やっとプラスに転じたGDPが再びマイナス成長にも入る懸念もあり、厳しい1年であると予測されています。 一方で、昨年の震災以来、日本の国民の頑張りをみて海外からの日本に対する評価は高まり、世界が日本にエールを送り、支援をしてくれています。将来に向けて、日本の力をもう一度見せつけて、世界の中でリーダーシップをとれる1年になると期待しています。 足下の経済は決して強くはありませんが、悲観的になる必要はなく、復興に向けて我々の前にはビジネスチャンスが広がっています。たとえば節電が続くのであれば、省エネシステム、ソリューションを提案することもできます。あるいは災害に備えお客様のシステムをより堅牢にするためにバックアップセンターを作るなど新しい取り組みもでてきていますので、積極的に、お客様の課題解決に役立つ提案を行い、貢献していくことが重要です。

HPは1939年創業し、70年以上の歴史のある会社ですが、昨年メグ・ホイットマン(Meg Whitman)という新社長が就任し、今もう一度HPの原点に帰ろうということを戦略に掲げています。HPは、世界170カ国で事業展開しており、コンシューマーから大企業まであらゆるお客様に対応して、ハードウェア、ソフトウェア、そしてサービスなど、すべてのITポートフォリオとテクノロジーをもつ世界最大のIT企業です。テクノロジー企業とて、HPの原点に立ち返って世界でリーダーシップをとっていくという戦略を進めようとしています。 その中で日本HPは、来年創業50周年を迎えます。外資系企業で、日本に根付いて50年を迎えるという誇らしい歴史を持つ企業として、皆さんも自信を持って活躍していただきたいと思います。昨年は震災という大きな困難がありましたが、皆さんの先輩たちは力を合わせてお客様をサポートし、必死にビジネスに取り組んだ結果、世界の中でも日本HPは非常に好業績を上げています。先輩社員は、お客様に貢献し、社会に貢献しようと高いモチベーションで働いています。先輩を見習い、チームの一員として戦力になり、貢献していくよう期待をしています。

入社にあたり、皆さんに期待することを3つお話します。

まず、今日から皆さんは社会人になったわけですが、働く意味を考えていただきたいと思います。社会人として働くというときに、一番重要なのは給料をもらう、ということです。では、皆さんの給料は誰が払っているのでしょうか? 上司や会社ではなく、お客様が払っているのです。皆さんが働いて、それがお客様にクオリティが高いと評価をされるとお金を払っていただくのです。皆さんが一番に考えなくてはならないのは、お客様から評価されているか、お客様に貢献しているか、喜んでいただいているかということです。これを常に意識して仕事をしてください。

2番目に、プロフェッショナルになったという意識をもっていただきたいと思います。お客様は、皆さんを通じて、HPを見ます。お客様はHPと付き合う前に皆さんと付き合うという意識を持ち、HPのブランド、暖簾で勝負するのではなく、自身の暖簾、看板を創ってほしいと思います。プロフェッショナルというのはマーケットにでたときに、バリューを持っているかどうかで評価されます。HPで働いていることもバリューですがそれ以上に、一人ひとりが自分の暖簾、ブランドを磨いてほしいと思います。それが皆さん自身のマーケットバリューを高め、ひいてはHPのブランドを高めていくことにもつながります。

3番目に、皆さんは数ある企業の中でHPというグローバル企業に入社しました。皆さんの現住所は日本HPですが、活躍のステージは世界170カ国に広がります。グローバルなステージで活躍するためには、明確な目標設定が必要です。30年後、20年後、10年後にどうなっていたいか、将来にわたる高い目標を設定し、そのために今日何をやるか、逆算で考えてみることも重要です。高い目標、チャレンジしがいのある目標を持って、170カ国の頂点を目指して頑張っていただきたいと思います。