2011年8月17日から19日にかけて開催されたHot Chips 23の最後のセッションを飾ったのが、IntelのSandy Bridgeプロセサ(Core iシリーズの2000番台)に関する2件の発表と、別途紹介するAMDの2件の発表であった。

IntelのCore i7、i5、i3シリーズのプロセサに関して発表を行ったのはSandy Bridge Design Managementの肩書を持つOded Lempel氏である。また、この次にSandy Bridgeの電力制御に関する詳細な発表が行われたが、論文の著者の名前を見ると全てイスラエル風で、Sandy Bridgeがイスラエルの開発センターで開発されたことを示している。

Sandy Bridgeについて発表するOded Lempel氏

Sandy Bridgeプロセサはすでに店頭に並んでいる多くのPCに搭載されており、色々な場面で技術的発表も行われているので、おさらいになるが、第2世代のCoreプロセサが第1世代から大きく変わっているのは、DRAMメモリを接続するGMCHと呼ぶノースブリッジチップがCPUチップの中に取り込まれてしまい、PCIバスやI/Oを接続するPCHと呼ぶサウスブリッジチップとCPUの2チップでシステムが構成できるようになった点である。ただし、第1世代でもCPUとGMCHの2つのチップは同一のパッケージに入っていたので外観はそれほど変わらない。

Sandy BridgeではGMCHをCPUチップの統合している(以降、全ての図はHot Chips 23でのIntelの発表資料から転載)

また、次の図のようにプロセサ内部のマイクロアーキテクチャもいろいろと改善されている。

Sandy Bridgeのマイクロアーキテクチャ

デスクトップ用のチップとしては最大4コアで、各コアが2スレッドの並列実行という点は変わっていないが、各コアのSIMD演算機構が128ビット並列処理のSSEに加えて256ビット並列処理を行うAVX(Advanced Vector Extension)を装備するようになった。これによりメディア処理や科学技術計算などの処理性能が最大2倍に向上する。

そして、各コアが3次レベルキャッシュであるLLC(Last Level Cache)とペアになっている点は前世代と同じであるが、第2世代CoreプロセサでこれらのCPU-キャッシュペア間をリング構造のバスで接続している。これにより接続のバンド幅が増大し、かつ、CPUの個数が変わっても容易に対応できる構造となっている。また、このリングはCPU-キャッシュペアだけでなくメモリやI/Oを接続するSystem Agentと書かれたブロックとPG&Mediaと書かれたGPUやビデオ処理部も接続している。

System Agentの中にはIMC(Integrated Memory Controller)と書かれたブロックが含まれており、第2世代のCoreプロセサではメモリDIMMをCPUチップに直接接続する構造になっている。前世代のプロセサではメモリDIMMからのデータはGMCHチップを経由してCPUチップの渡されていたのに比べると、ムダが無くなるので性能が向上し、消費電力的にも有利になっている。

さらにSystem Agentにx16のPCIexpressインタフェースが内蔵されており、高性能のディスクリートグラフィックスカードやディスクなどを直接CPUチップに接続できるようになっている点も便利で、GMCHを経由するより消費電力的にも有利である。