今後のアプリストアに求められる機能

今後のアプリストアについては、アプリの発見を改善するアプローチとして、ソーシャルな要素にフォーカスがあたるだろうと複数が予想した。実際、会期中に米Adobe SystemsのCTO、Kevin Lynch氏が"Apps Near You"というコンセプトをデモしているが、これは位置情報とソーシャルを組み合わせてアプリが提案されるというものだ。

また、Webベースのアプリケーションにも注目があたった。FilromaticのCurtis氏は、Webアプリの強みとして、ハイパーリンクとプラットフォーム性の2つを挙げた。後者では、電子メールなどをシームレスに統合・連携できるものだ。1990年代のAOLがApp Storeとすれば、WebはYahoo!だとたとえ、今後モバイルアプリ経済が大きく変わる可能性もあるとした。モバイル分析の英VisionMobileによると、Webは56%の開発者が利用しており、Android、iOSに次いで3番目に利用されているモバイルプラットフォーム技術という。2010年と比較した伸び率では、最多となっている。

だが、「Webはプラットフォーム技術に過ぎない」とCurtis氏、今後開発者コミュニティと配信メカニズムを持つエコシステムとなるのかが注目だという。

mig33のCEO、Steven Goh氏

全体として、Appleの閉鎖的な姿勢に反発が出はじめた感触があるが、「オープンとクローズドは繰り返す。重要なことはコンシューマが何を望んでいるのかだ」と音楽ストリーミングサービス、英We7でCEOを務めるSteve Purdham氏は述べた。

一方、日本のモバイル事情に明るいオーストラリアの起業家、Steven Goh氏(現在、mig33のCEO)は、Appleがやったことは日本のモバイルビジネスの模倣と述べた。Goh氏は、Androidにより日本のディー・エヌ・エー(DeNA)などのモバイルコンテンツ企業が世界進出を始めた、とも言う。「(DeNAやGREEなどの日本の企業は)モバイルを理解している。本質が"楽しい(Fun)"であり、これはモバイルにとって大切な要素だ」と高く評価していた。