CEATEC JAPAN 2010において、PCメーカー幹部によるパネルディスカッション 「2010年代のパーソナルコンピューティング」が開催された。登壇したのは以下のメンバーだ。
- インテル 代表取締役社長 吉田和正氏
- NECパーソナルプロダクツ 取締役 執行役員常務兼PC事業本部長 高塚栄氏
- ソニー ネットワークプロダクツ&サービスグループ VAIO&Mobile事業本部 副本部長 赤羽良介氏
- 東芝 執行役 上席常務 デジタルプロダクツ&ネットワーク社社長 深串方彦氏
- パナソニック AVCネットワークス社 システム事業グループ ITプロダクツビジネスユニット ビジネスユニット長 奥田茂雄氏
- 富士通 経営執行役 パーソナルビジネス本部 本部長 齋藤邦彰氏
- マイクロソフト コンシューマー&オンライン事業部担当 代表執行役副社長 堂山昌司氏
新たな技術、新たな製品が登場するパーソナルコンピューティングの世界において、次の変革はどうなるのか、次なる10年はどこへ向かうのかをテーマに各社のキーパーソンが語った。モデレータは、日経パソコンの中野淳編集長が務めた。
ずらりと並んだPCメーカーのキーパーソンたち。左端はモデレータの日経パソコン 中野淳編集長。以下、左からインテル 吉田氏、NECパーソナルプロダクツ 高塚氏、ソニー 赤羽氏、東芝 深串氏、パナソニック 奥田氏、富士通 齋藤氏、マイクロソフト 堂山氏 |
インテルの吉田和正社長は、2019年までの集積回路のロードマップや、アプリケーションの進化などの図表を示し、「今後も、ムーアの法則を実現するのがインテルの役割であり、プロセッサの進化によって、驚きを提供するのが役割である。たとえば、より豊かなビジュアル体験を実現するCPUを提供することで、1人1人が放送局のように情報を発信できるようになるのもそのひとつ」と前置きし、「PCは、1日100万台が出荷されているが、それが限界ではない。個人の生活、企業の成長、地球規模での課題解決という点で貢献できるのはPCである。そして、スマートデバイスの登場がPCの価値をさらに高めることにつながる。PCの出荷は2010年には4億台だったものが、2020年には310億台になる。いまは平均で1人に2.6台だが、2020年には1人平均7.8台になる。これは1人が所有する台数ではなく、知らないうちに身の回りにある台数である。そうした状況はいまは想像できないが、そういう世界がくる。その世界を実現する技術、製品、サービスを日本から発信していきたい」などとした。
また、来年に出荷が予定されていSandyBridgeについて触れ、「これまでは3つのチップが搭載されていたものが、ひとつに統合され、高性能化、低消費電力、エコ、スマートを実現する第2世代のインテルCoreプロセッサとなる。これによって、未来の製品を作り上げてほしい」などとした。
NECパーソナルプロダクツ 取締役 執行役員常務兼PC事業本部長の高塚栄氏は、「クラウド時代のパーソナルコンピューティングは、端末の進化が新たなサービスを創出するという刺激になり、それによってクラウドが進化。さらに、端末の多様化を促進するというポジティブなサイクルが生まれる。結果として、それが豊かなライフスタイルの実現につながる」とし、「これまでのPCや携帯電話といった端末に加えて、スマートフォンや専用端末、スマートブックといった端末が登場し、コンシューマユーザー、ビジネスユーザー、サービス事業者における新たな利用を促進することになる。NECはそれぞれのニーズにあわせて、端末からクラウドコンピューティングまでのすべてを提供することになる」とした。
コンシューマユーザーに対しては、「パーソナライズがキーワードになる」として、「人がコンピュータにあわせる時代から、コンピュータが人にあわせる時代へと変化しはじめる。グルメ番組をみて、おいしそうな店があるということを知り、その近くを通りかかったら端末がそれを教えてくれたり、近所のスーパーにいくと、自動的にクーポンが配信されたり、自分の好みにぴったりの音楽を紹介してくれるといった世界がやってくる」と予測した。
そのほか、ビジネス市場や、BtoBtoC型の市場においても、クラウドと端末の組み合わせによって新たなサービスが提供されるようになり、「いつでも、どこでも、自分にあった質の高いクラウド型のサービスが、そのサービスに最適化された端末から提供される。NECが目指す姿はここにある」などとした。