フレームワークを変え、人間を中心に据える考え方をベースとした研究開発を目指すとする同社だが、このヒューマンセントリックコンピューティングという考え方を目指すことについて、同社ヒューマンセントリックコンピューティング研究所の飯田一朗氏は、「人間が活動しているあらゆる場所で的確なサービスの提供が可能となるシステムの開発を目指すことで、より多くの場でICTの利活用が進むはず」とさまざまな場所でのICT活用を進めることで、富士通グループ全体の利益へと結びつけることを窺わせる。
また、「確かにICTは多くの企業などで浸透し、活用が進んでいるが、その一方で工事現場や病院、農場、教育、道路、家庭といった人が中心となる世界ではさまざまな理由(インフラ整備が困難であったり、色々な場所に移動して業務を行うなど)でICTが浸透していない。そうした人が中心の領域に対し、単にシステムを提供するのではなく、人間がどう動いているのか、といったことに注目し、それをICTと結び付けることが重要」であり、そうした場所でのICTの活用について「クラウドコンピューティング」「ネットワークの進化」「端末の進化/スマートフォン化」の3つの技術変革が同時に進んでおり、今、これらの技術をすべて有している富士通が、こうした取り組みを数年以内に上手く組み合わせることによる付加価値の提供を実現することを狙うともした。
具体的にはどういったICTサービスの提供となるのか。簡単に言ってしまえば、各種のセンサを活用して、その人が今、どこで何をしているのかを把握し、その場に応じた的確なサービスと、その場所でどのようにしてそのサービスを活用するのか、の融合を進めていくとしている。例えば、その人がどのような行動をしようとしているのかをセンサで確認(センシング)、それに適したサービスを提示するという短いループと同時に、その人がこれまで何を行ってきたのかという大きなループでの知識も融合させることで、より正解率を高めたサービスを行動する前に提示することが可能となる。
同研究所の主な研究としては「人とシステムのコラボレーション」「人の状態を理解する行動センシング」「人とシステムの自然なインタフェース」「現実世界を理解する環境センシング」などが挙げられる。すでに一部の研究は実地での実施も検討されているという。