デル ラージエンタープライズ マーケティング ジャパン マーケティング本部 ブランド マネージャー 大植吉浩氏

そして、7月30日の午後には、デル ラージエンタープライズ マーケティング ジャパン マーケティング本部 ブランド マネージャーである大植吉浩氏が「仮想化技術を利用した日本型クラウドの実現に向けて」と題して、優れた仮想化導入手段を導入事例をあわせて紹介した。

「2008年のはじめくらいから案件の規模が拡大、数が大幅に増えている。最初はデータセンターの運用コスト削減から始まった取り組みだが、現在は小規模システムでも需要が増えてきている。目的・管理・ビジネスに沿った仮想化を提供できている」という大植氏は、いくつかの仮想化の導入事例を紹介。

「さまざまな業界で導入され、全てのアプリケーション仮想化の事例も多いが、最も大きな事例はサーバ統合。サーバ台数を10分の1にするのがデルの一般的な提案のパターン。TCOはそれによって30から70%削減、CPUの使用効率も4-5倍となる。プロビジョニング時間も60%となるが、さらにリスクを減らすというアプローチにつながる」と語った。

10:1のサーバ統合を実現した例としては、201台のデータセンターをサーバ仮想化で統合した事例が紹介された。「201台のうち、導入したばかりのために移行する必要のないサーバなど、移行に適さない、または必要のない63台を特定して評価から除外。さらにアセスメントサービスによる詳細調査で17台を対象から除外し、残る120台を対象に統合を行った」と大植氏の語る事例では、120台のサーバが12台に統合され、運用コストが68.3%削減されたという。

12台の内訳は9台の仮想化ホストと3台の冗長性であり、取り組み以前では一部サーバでしか確保されていなかった冗長性が全体に適用された。「ほぼ100%のシステムに対して高いQoSが実現できた事例。非常に効果的な仮想化事例だ」と大植氏は語る。

10:1のサーバ統合事例

サーバ統合でほぼ100%のシステムに高いQoSを実現

また、仮想化は最適なライフサイクルを提供できるともいう。これは、企業が自社開発したソフトウェアやERPは導入当初不安定なものの、徐々に安定化するという流れがあるのに対して、ハードウェアは導入時から老朽化する一方であるという関係のバランスを整えるものだ。

通常のハードウェアは5年程度でリプレースの時期を迎えるが、仮想化することで物理的なハードウェアの入れ替えがスムーズに行えるようになる。また、データはシステム導入以降増え続け、ビジネスの変化によって急増する可能性もあるため将来的な容量を予測することは難しいが、これも仮想化によってカバーしやすくなる。時間を経るごとにリスクが減るソフトウェアと、増えるハードウェアという関係を整え、10年間利用できるインフラを構築できるという。

仮想化が実現する最適なライフサイクル

デルの仮想化への取り組みとして大植氏は「理想型ではあるが、仮想マシンが増えていくにあたって仮想インフラは大きくなっていくが、同時に統合の効果が出て運用コストは一定に保たれる。それでいてシームレスにスケーラビリティを保ち、ダイナミックで柔軟な最適化等の効果を実現する。こういった目標に向けてデータセンターソリューションと仮想化技術を使った統合という取り組みを進めている」とした上で、「デルではサーバ仮想化とストレージ仮想化の双方に取り組んでいる」と語った。

仮想化データセンターのシンプル化

デルのサーバ仮想化とストレージ仮想化ソリューション