Flash CatalystそしてFlash Builder 4はまだベータ版が出たばかりの段階であり、今後ユーザからのフィードバックを受けながら正式リリースに向けて開発を進めていくとのこと。リリースから1カ月、ユーザからは概ね高い評価を得ているとのことだが、「まだ足りないフィーチャーも多く、優先度を決めながら2番目、3番目のリリースで実装していきたい」とDuvos氏は語っている。
同氏の言う"足りないフィーチャー"には、たとえばより多くのコンポーネントのサポートや、PhotoshopやIllustratorとの統合、エフェクトやトランジションのサポートなどが含まれる。
「"Catalyst 1"のゴールは、『次のCatalystが出るときに基礎的な作りができているようにすること』です。したがって必要とされる十分な機能を有しつつ、一方であまり多くの機能を詰め込まないように優先度をよく考えて進めなければなりません。最終的な目的は生産性の向上やワークフローの改善なので、無駄な機能があっても逆効果ですから」(Duvos氏)
また、Flash Catalystを利用したワークフローの改善という点に関しても、ベストプラクティスを提示するなどして顧客をサポートしていく予定とのこと。Adobeとしてどの役割の人がどこで関わるかなども提案できるほか、SIerによる独自のベストプラクティスが出てくることも期待しているという。
とはいえ「Catalystは魔法ではありません」と同氏は強調する。最終的には社内のプロセスを変えていかなければ本来の効果を得ることはできない。Flash Catalystはあくまでもプロセスの最適化に関する新しい提案ができるというツールであり、実際にそれを行うのはユーザ自身だ。
今回公開された3製品の正式リリース時期については未定だが、おそらく2010年の上半期が目処になるのではないかとのことであった。
Flashの対抗馬? HTML 5は「まだ出ない。10年待っても出ないだろう」
最後に、本題とは関係ないがHTML 5に対するAdobeの考え方についても聞いてみた。Adobe自身もワーキンググループの一員であり、決してHTML 5に反対しているわけではない。しかしHTML 5の目指すインタラクティブ性は同社の製品と競合する部分も大きい。これについてDuvos氏は次のように答えてくれた。
「HTML 5は"まもなく出る"と、もうずっと言われてますが、まだ出ていません。議論の場に参加している立場からはっきり言わせてもらえば、あと10年待っても出ないでしょう。仕様を固めるためにはまだやらなければならないことが非常に多く残っているからです。我々はユーザを10年も待たせることはできません」
HTML 5として標準化を進めるという点に関して同社も前向きであることは間違いない。しかしそれがFlashをベースとしたAdobeのプラットフォーム戦略に大きく影響するということはなさそうだ。