今そこにある機器のロボット化

ロボットをクラウドと結びつけて様々なことをやりたい。と言っても、やはり大事なのは"何をさせたいのか"ということ。いくらハードだけを作っても、"アプリケーションとしてのロボット"ということを考えていかないと、ロボットの進化はない。

ロボカメ機能のイメージ

そこでスピーシーズでは、家庭にある様々なIT機器がロボット化したらどうなるか、と考え、実現すべきアプリケーションを練っているそうだ。「例えばプロジェクタやプリンタがロボット化したらどうか、そんな風に考えていくと非常に楽しい」と春日氏は語る。その一例としてデジカメのロボット化、歌って踊って司会もできる"ロボカメ"が提案された。パーティーなどに連れて行くと、たとえば前出の"笑い袋"のデモなどで人を集め、みんなが笑ったところで写真を撮ってくれる、という訳だ。

ロボカメのターゲットマーケット

ロボカメのターゲットマーケットについても説明された。デジカメのような専用のIT機器ではなく、玩具・ホビー・キャラクター商品でもない、その中間ぐらいの、遊べて使える面白い機能、エンタテインメント性が高いものを創造していきたい、とのこと。

スピーシーズの次期主力ロボット

なお、残念ながらセガトイズと共同開発中のロボットについてはまだ情報を公開できないということで、スピーシーズ独自設計の次期モデルが紹介された。試しに設計した、ということだったが、昨年、パシフィコ横浜で開催された「ROBO JAPAN 2008」の同社ブースで「Family Communicator NNR-1」として展示されたもので、公式サイトにも掲載されている。23cm、500gのボディに18関節、高性能なCPU、Wi-Fi、カメラやタッチセンサなど、現行の"SPC-101C"と同等の性能を保持しつつ、台湾で製造すれば7万円ほどで販売できるそうだ。当初は今年春に発売する計画だったが、現在もパートナーを探している。5億円あれば何とか生産が可能だそうなので、我こそは! という方がいれば立候補して欲しいとのこと。

スピーシーズ独自設計の次期モデルのイメージ図

最後に春日氏は次のように語った。「ロボットは肉体、クラウドは言わば魂で、我々はボディ&ソウルを作っているつもり。それがうまくできて、本当に自然な会話ができたり、いろんな情報が手に入れられたりするようになると、ロボットもだんだん進化して人間ぽくなっていくのでは。まだロボットは開発途上。技術的な意味でなく、ロボットが何をしてくれたら楽しいか、という部分がまったく開発されていない。今のロボット業界に一番欠けているのはその部分。そこをぜひ、皆さんにも一緒に考えてほしい」

高橋氏も締めのコメントとして「ロボットはもう夢じゃない。まだ知識は必要だが、その気になればさまざまなことができる」と語っていたが、まさにその通りだと実感させてくれたトークイベントだった。クラウドコンピューティングにより、現在形で家庭用ロボットの普及と進化を目指すスピーシーズの今後の動向に注目したい。