ロボットに必要な3要素とは
続いて春日氏は、ロボットの基本機能として必要な3要素を挙げた。
1つ目が"人とのインタラクション"。音声認識による会話、顔認識でオーナーの顔を見分ける機能、音声での応答や、さまざまな伝言を伝えるメッセンジャー機能など。各地でデモを行なっているが、こうした機能はやはり誰もが面白がってくれると言う。
2つ目は「エンタテインメント」。やはり"動く"ことはロボットの最大の特徴であり、踊ったり、歌ったり、といった様々な表現ができることも重要、とした。
3つ目が"実用機能"。これは既存のロボットでも比較的実現されているが、"歩くWebカメラ"として外出先から家の中の様子を見たり、ペットの見守りなどの留守番役。目覚ましやスケジューラといった秘書的な機能。その他、英会話の相手や、質問をするとWikipediaを検索して答えてくれる、など。
とりあえず、これら3つの要素を備えることで、家庭にもロボットが入っていけるのではないかと考え、こうした機能の実現を目指しているとのこと。
これなら別にロボットでなくてもよいのでは? ともよく訊かれるそうだが、それは違う、と春日氏は語る。他のIT機器とロボットとの一番の違いは、感情移入ができること。これはAIBOの頃から思っていたそうで、AIBOは動かないときはただの物体だが、動いた途端に命が宿った感じがして、すごく親近感がわく。人間がこんなに感情移入できる機械は他にない。"フレンドリで親近感がわくITデバイス"、それはロボットが初めて手に入れた特性であり、そこにこそロボットの存在意義がある、という訳だ。
「SPC-101C」によるデモ
現行のインターネットロボットである"SPC-101C"実機によるデモを見てみると、このモデルはマイク未搭載であり、現状ではPCに接続されたマイクに向かってしゃべるシステムが組まれている。ただし、次世代のロボットではマイクを内蔵して直接対話する形とし、1mほど離れても十分に音声認識ができることを目指して開発を進めているという。
デモは挨拶と自己紹介に始まり、Eメールの読み上げ、ニュース速報の再生、音楽を鳴らしながらのダンス、と順調に進んだ。
さらに頭部の内蔵カメラのデモに移り、ミニノートPCの画面に認識の様子が映し出された。ロボット自ら首を動かしたり、歩いて近づいたりして顔をとらえてくれる。
そして最後は"SPC-101C"の「キラーアプリ」とされる、通称"笑い袋"というデモも披露された。春日氏いわく「こうしたデモを見て、かわいいな、とか、面白いな、と思ってもらえれば成功。単に動きというよりも、音声なども含めた複合技での感情表現に注力している。"ロボットは感情移入のできるIT機器"ということを理解してもらえれば、そこから新しいメディアが開けると考えている」とのこと。