JavaFXは大成できるか
セッションの開催数で目立ったのは、昨年に引き続きJavaFXだった。テクニカルセッション、ハンズオン、BOFを合わせると実に70近い数のセッションが行われ、多くの参加者を集めた。内容としてはJavaFXと他の技術を組み合わせた事例紹介が多く、同技術の多方面での活躍を予感させるものではあったが、新しい発表を期待した人にとってはインパクトに欠けるものだったかもしれない。
もちろん重要な発表もいくつかあった。ひとつは、JavaFX向けの初のオーサリングツールである「JavaFX Design Tool」(仮称)だ。これまでJavaFXには他のRIAプラットフォームのように十分な能力を持ったオーサリングツールが存在せず、それが開発者の不満の種だった。JavaFX Design Toolがリリースされれば、その不満が解決され、JavaFX普及への道が見えてくるかもしれない。
また、JavaFX発表当時よりターゲットとなっていたテレビ市場向けの製品である「JavaFX TV」のプレビュー版がリリースされたことも大きなニュースのひとつだ。JavaFX TVはテレビ用インタフェースを開発するためのJavaFX実装である。Java自身は携帯端末やテレビのような組込みデバイス市場でも広く普及しており、JavaFXが生き残るための大きな強みとも言える。その意味でJavaFX TVは、JavaFX Mobileと並んでJavaFXの先行きを左右するものになるかもしれない。
盛況だったパビリオンの「Cloud Zone」
JavaOneにおいてJavaFXが重視された一方で、CommunityOneで特にフォーカスされていたのは「クラウド」だ。Sunは3月に新しいクラウドコンピューティングのソリューションとして「Sun Open Cloud Platform」と「Sun Cloud」を発表しており、Keynote SessionではこのうちのSun Cloudに関するサービス紹介やデモンストレーションなどが行われた。
逆にJavaOneのセッションではクラウドについてはあまり大々的には触れられなかったが、パビリオンには「Cloud Zone」というコーナーが設けられ、連日多くの人で賑わっていた。特にSun Cloudのブースでは仮想データセンタの構築や課金システムなどに関する具体的な説明が行われ、実際のサービス開始を前にして真剣に耳を傾ける来場者が多かった。
Sunではクラウド対応した開発環境の充実にも力を入れており、さまざまなプロジェクトを展開/サポートしている。Cloud ZoneにもProject Kenaiに対応したNetBeans 6.7や、Webベースの開発環境であるZembly、SPARC対応の開発環境であるProject Speedwayなどのブースが設置されており、実際にデモ機を使って試してみることができた。
クラウドはすでに現実のビジネス市場に浸透する兆しを見せ始めており、Java開発者にとっても注目度の高いテーマであることを改めて実感させられる光景だった。