アート系の監督とは違う場所を目指している

――佐藤監督が「エコエコアザラク」で注目を浴びた当時は「女性の映画監督」という存在自体が稀有なものでしたね。

佐藤「そうですね、ほとんどいなかったですね」

――最近では、当時より女性監督が増えているという印象があります。

佐藤「単館係というか、アート系の監督は増えてきていると思うのですが、エンターテインメント系の女性監督は、ほとんどいないと思います」

――そういったアート作品の女性監督とご自身の違いを感じたりはしますか?

佐藤「よくわからないのですが、男女問わずアート系と呼ばれる監督の方々は何か言いたいことがあって作品を創っているのだと思います。私は職人というか企画に合わせて面白いエンターテインメントを創りたいというタイプなので、目指している部分がまったく違うと思います」

やっぱり楽しい物を創りたい

――佐藤監督は、どういうエンターテインメントを目指しているのでしょうか?

佐藤「やっぱり楽しい物を創りたいですよね。ファンタジーが大好きなので、『ゲド戦記』とか実写で映画化したいんですよ。本当は『ロード・オブ・ザ・リング』を映画化したかったのですが、もうやられちゃったので……。マーケットとかを考えないで、純粋な夢ですが、萩尾望都さんの作品が好きなので、萩尾さんの『銀の三角』とか『スター・レッド』とか映画化してみたいですね」

――佐藤監督は『アンフェア』などで脚本家としても活躍されていますが、両者の違いは感じますか?

佐藤「実は、脚本のほうが楽です。文章を絵にしていく監督の仕事は、大変な作業の割りに儲からないんですよ(笑)」

――それでも、映画監督を目指す人は絶えません。映画監督を目指す人に、なにか佐藤監督からアドバイスのようなものはありますか?

佐藤「とにかく作品を作ることですね。学生さんなら、マーケットや倫理の制約がないので創り易いと思うんです。その立場を利用してバンバン作品を作っておかないと、映画監督にはなれないと思います。作ったことがない人、作品がない人が業界に入って助監督になり『映画を監督させてください』と言ったとしても、やっぱり作品がないと難しいと思うんですよ。だから、とにかく完成度の高い作品をどんどん作る事が大切だと思います」

――今日はどうもありがとうございました。

K-20 怪人二十面相・伝

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(c)2008 「K-20」製作委員会

撮影:石井健