Web Plantの導入で最も顕著に現れたメリットが、大幅な業務効率化とペーパーレス化だ。エフ・エー・テクノでは、関東および新潟に11カ所の拠点を構えており、従来はすべて紙ベースでの申請が行われていた。そのため、紙の消費量が多いのはもちろん、申請が完了するまでにかなりの時間がかかっていたという。瀬間氏も「従来方式では、起案者が紙ベースの申請書をFAXやメールで送っていました。内容にもよりますが、例えば新潟営業所からの起案を東京本社で承認、それを再びフィードバックするまで最低でも2日はかかってしまいます」と、当時の様子を振り返る。

しかし、ワークフローシステムを導入してからは状況が一変。画面でリアルタイムに処理や状況確認が行えるため、紙ベースのように手元を離れてから承認されるまでの進捗状況が分からなかったり、処理そのものの遅延が発生することがなくなった。さらに、従来は担当者間の属人的な判断に委ねられていた業務や、今まで明るみに出なかった潜在的な改善点も明確になったという。

このようにワークフローシステムは、紙の消費量やファイリングスペースの削減に加えて、実務における処理速度の向上を実現、また副次効果として業務フローの新たな改善点の明確化というメリットまで生み出したのである。

エフ・エー・テクノが導入したワークフローシステムの検索画面

エフ・エー・テクノでは現在、値引きや返品をはじめとした営業での売上げに関わる処理、社内の稟議規定に基づく決裁書、さらには会計システムの入れ替えを機に追加された出張申請などにワークフローシステムが導入されている。帳票の数は交通費精算や稟議といった各業務単位で約100~150、3段階の階層構造を採用しているためフォーム数はその3~4倍だ。これらの帳票はエフ・エー・アネックスを含む250名ほどのユーザーが活用しており、その数は月間約1000-1500件に達するという。

エフ・エー・テクノが導入したワークフローシステムの帳票例。左が「決裁申請」、右が「情報システム調査・改善依頼書」

今後の取り組み

瀬間氏は今後の取り組みについて「今回はあくまでもシステムの立ち上げを優先させたので、これから徐々にワークフロー自体の見直しを行っていきたいと思います。また、現在は単独で稼働しているワークフローシステムを販売管理システムと接続し、自動化することでリードタイムの短縮を図る予定です」と語る。また、冨本氏は「今後さらに効率化につなげていくために、他の分野、例えば人事・経理業務へ応用を広げていきたい。また、キヤノンソフト様には機能拡張や他社事例を提供頂き、弊社の有効活用をさらに有効促進していきたい」と述べた。近年では経済不況の影響によりどの企業も厳しい状況下に置かれているが、そんな中でエフ・エー・テクノが推進するWeb Plantを用いたワークフローシステムは、内作が可能でありながら経費削減と業務効率化を同時に実現できた理想の姿といえるだろう。

今回インタビューに答えていただいた、エフ・エー・テクノ 瀬間氏(左)と冨本氏(右)。