まずはテクラス社と協議し、ワークフローシステムの候補の絞り込みを行った。 「各種ITに絡むコンサルおよびコーディネーション経験に基づき、製品候補を4つに絞り込みました」と語るのは、テクラス 第一ソリューション事業部 取締役 事業部長 岩野浩志氏だ。
一時はネームバリューによる安心感や時間的な制限から、某大手企業のソリューション導入に落ち着く気配が濃厚だったという。しかし、事業支援部 情報システム課 課長の冨本眞美氏は「検討を進めるうちに、エフ・エー・テクノとして最も重要である基幹システムとの連携、特に販売管理システムとの情報連結が難しくなることが判明しました」と、その製品を採用しなかった理由を語る。
そこで、システムの開発から運用まで一貫した体制で実施でき、変更内作が可能なキヤノンソフトウェアの「Web Plant」に白羽の矢が立ったのである。
キヤノンソフトウェアが提供するWeb Plantは、複雑になりがちな企業のワークフローシステム構築を、開発から運用まで一貫した体制で行えるツールだ。インタフェース部分には高いユーザビリティを実現するGUIが採用されており、プログラミング作業や専門的な知識は不要。さらに、複雑な業務処理を可能にするプロセス定義ツール、システムの開発・運用権限とアプリケーション資産に対するアクセス権限の区分化、バージョン管理機能と自動連携した一元的な運用環境、業務システムとのプロセス連携などを搭載し、高度なワークフローシステムを短期間で構築することが可能となっている。
Web Plantの導入が決定したエフ・エー・テクノでは、まず計5名のメンバーを選出して、キヤノンソフトウェアで3日間の研修を行った。ここで注目したいのが、研修に参加したメンバーの内訳だ。一般的には、情報システム部門から人材を選びがちだが、エフ・エー・テクノでは営業支援課、経理課、企画グループ、情報システム課、そしてインフラを共有している子会社エフ・エー・アネックスから各1名ずつを選出している。
この理由について、企画グループ グループ長の瀬間将宣氏は「今後ワークフローが必要となる部門での実務を優先し、システムよりもそれぞれの業務プロセスを主管している部門から人材を選びました。もちろん、通常のワークフローシステム構築ツールではシステムに関して一定レベル以上の専門知識が必要になるため、素人には難しい作業といえるでしょう。しかし、Web Plantは分かりやすいGUIベースで作業ができ、専門知識やスキルがなくても高度な帳票作成が行えます」とその理由を語る。また、この人選にはシステム関連の作業が集中した場合でも、パンクすることなく他部署で負荷を分散できるというメリットもあるという。
研修が終了した後は、早速各メンバーが分担して営業業務に関わる帳票作成に取り掛かった。手順としては、まず講習会で使ったサンプルを手直しする作業から始め、メンバーが慣れたところで経路設計から実務で使える段階まですべてを網羅する高度な作業へと移行。システム実装に際してのテクラス社からの十分なサポートもあり、結果として、わずか3カ月という短期間で、実務に耐えうる帳票が完成したのである。