AMDとATICの合弁会社

プロセッサベンダであるAdvanced Micro Devices(AMD)とアブダビ首長国の投資会社Advanced Technology Investment(ATIC)の合弁会社である米半導体ファウンドリ「GLOBALFOUNDRIES Inc.」は3月23日に東京で記者会見を開催し、同社幹部が会社概要や事業展開などを説明した。

合弁会社設立の合意をAMDとATICが発表したのが2008年10月。2009年3月6日にはAMDが、新会社の名称が「GLOBALFOUNDRIES」に決定したことを発表した。GLOBALFOUNDRIESのWebサイトによると、同社の正式な発足日は2009年3月2日である。なお当初の資本比率はAMDが44.4%、ATICが55.6%とされていたが、現在ではATICの出資比率が増えてAMD34.2%、ATIC65.8%となっている。

GLOBALFOUNDRIESのロゴマーク

GLOBALFOUNDRIESについては今回の記者会見より前の段階でかなりの情報が明らかになっており、今回の会見の大半は、これまでの情報を確認する作業となった。すなわちAMDの製造部門の人員や設備などがGLOBALFOUNDRIESに移籍して事業活動を開始したこと、従業員数は約3,000名であること、ドレスデン工場(Fab1)が主力の生産工場となること、第2の生産工場(Fab2)を米ニューヨーク州サラトガ郡に建設すること、第2工場は約1,400名の直接雇用と約5,000名の派生雇用を生み出すと期待されていること、ATICは今後5年間に38億ドル~60億ドルの段階的な大規模投資を実行すること、などである。

今回の会見で来日したGLOBALFOUNDRIES幹部は、最高経営責任者(CEO)のダグラス・グロース(Douglas Grose)氏、シニアバイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーのジェームズ・ドラン(James Doran)氏、営業・マーケティング部門シニアバイスプレジデントのジム・クペック(Jim Kupec)氏、最高財務責任者(CFO)のブルース・マクドゥーガル(Bruce McDougall)氏などで、同社幹部一行によるアジア訪問の最初の訪問地として日本が選ばれたという。

GLOBALFOUNDRIESのCEOであるダグラス・グロース氏(以前はAMDの半導体製造部門担当シニアバイスプレジデントを務めていた)

記者会見には、上記4名の内、マクドゥーガル氏を除く3名が出席した。始めにCEOのダグラス・グロース氏が登壇し、同社ファウンドリ事業の将来性を語った。

半導体の微細化にともない、プロセス開発のコストと量産ライン建設のコストが急上昇している。このため、製造部門の負担を軽減したり(ファブライト化)、製造部門を切り離したり(ファブレス化)する傾向が半導体産業全体で強まっているとした。そのため半導体ファウンドリの役割が高まっているというシナリオである。

微細化とともにプロセス開発費用と量産ライン建設費用が上昇している

主要な半導体ベンダのプロセス開発ロードマップ。45nm以降のプロセスでは半導体ファウンドリの事業機会が拡大する

そして「グローバル(Grobal)」「技術革新(Innovation)」「コラボレーション(Collaboration)」「敏捷性(Agility)」の4つの要素でほかの半導体ファウンドリと差異化すると述べた。