ゴミを自動収集 - 最先端の廃棄物処理システム

ハマービーモデルは、廃棄物処理、エネルギーの消費、再生エネルギーの生産を連動させることで、持続可能な資源利用を追及するものだ。

ハマービーを歩いていて、まず目に付くのがゴミを入れる太い円筒だ。街のあちこちに3本セットで地面から突き出している。これが自動回収システムだ。

ゴミをいれるチューブ

ゴミの分類がどれだけ正確だったかを示すグラフ。住民の意識を高めてもらうのが目的

住民は家庭ゴミを、生ゴミ、有機性廃棄物、紙の3つに分類し、それぞれの円筒に入れる。円筒に入ったゴミは、ハマービーの地下を張り巡る自動収集システムによって、時速70kmで1カ所に集められる。メインの管は1つ。弁を遠隔操作することで、3つが交わらないよう集める。このシステムにより、収集トラックは1箇所でハマービーの住民のゴミを集められる。だから、収集日にゴミを路上に出し、それを収集車が集めて回るという風景は、ここでは見られない。

これは、大気汚染対策、渋滞緩和、燃料費節約などのメリットのほか、ゴミ置き場のスペースも節約できる。

スウェーデンでは、環境へのアクションを組み合わせる「Symbio City」という考え方を推進しているが、ハマービーはSymbio Cityを実践したモデル地区となっている。

汚水処理から生産したバイオガスが台所の燃料に

世界の多くの地域で真水の確保は課題だ。ハマービーの場合、近くの湖から真水を引いており、利用後の汚水をさまざまに利用して海に返している。地区内にある汚水貯めで作られたバイオガスは燃料となり、約1,000戸の台所で使われる。汚泥は肥料となり農業で利用される。処理水は近くにある施設に送られ、ハマービーの家を暖める地域暖房システムに利用される。同様のプロセスで、商業施設の冷房、家庭用温水としても利用される。再利用された処理水は最終的に海に流れる。

冬が長く厳しいスウェーデンでは、暖房は大きな問題だ。熱供給施設から地域内の住宅や商業施設に温水/冷水を供給する地域暖房は、ゴミ焼却と連動して利用されることが多い。ストックホルムの場合、すべてのフラットが4箇所ある施設に接続しており、約75%の家に使われているという。

自家用車は捨てがたい? - カーシェアリングを提案

15分おきに対岸まで渡るフェリーが出ている。自転車を積んで移動できる

ハマービー計画に携わった専門家らは、車の利用を減らすことも目的に掲げた。だが、ストックホルム中心とを結ぶトラムの乗り入れが遅れたこともあり、いざ入居がはじまってみると、自家用車を利用する住民は当初の予想を大きく上回った。

トラムのほかには、対岸にわたるフェリー(住民は無料)、バスなどの公共輸送機関を用意している。自治体はこのほか、カーシェアリングも積極的に提案している。カーシェアリング事業者CityCarClubの場合、月額45ドルの基本料金と利用料金で車をシェアできる。現在、ハマービーの約450の家族がカーシェアリングを利用しているという。

プライベート目的では自家用車を好む傾向が強いが、通勤では、ハマービーの住民の75%が徒歩/自転車/公共輸送機関を利用している。同じような地域と比べた場合、車の利用を40%削減したことになるという。

街づくりも進めている。居住地区としてだけではなく、商業活動の場としても発展させるため、大通りに面したマンションの1階はオフィスやレストランなどの商業用スペースにすることが決まっている。自治体側は、最終的に1万人の人がハマービーで働くことを目標としている。そのほか、学校2校、保育施設14カ所など、インフラ整備も進んでいる。