ソーシャル要素を視野に入れた新たな計測サービス
ソーシャル、バイラル、視聴者参加機能に焦点を絞った話題の中で登場したポイントは、「視聴者行動を計測する新しいサービスが、今後の鍵を握る」といった内容だった。視聴者の行動によって付けられるランキングやコメント機能、ブログやSNSへのパーツ貼り付けなどといったソーシャルな要素がYouTubeの成功に繋がったわけだが、この派生として顕著に表れてきたのがバイラル効果だ。それを狙って、テレビ局も新しい取り組みを始めている。ビデオコンテンツの同画面上に、ソーシャル視聴室といった形でチャットやコメントの書き込みを可能にする「ソーシャル・ビデオプレーヤー」といった技術が、CBSのサイトではすでに実装され公開されている。また、織田氏は、intelのTV端末用チップの提供や、同社がYahoo!と進めているテレビ用ウィジェット・フレームワーク「Widget Channel」などの話題も取り上げ、ソーシャルメディア的な現在のネットコンテンツが、リビングに浸透して行く予想図を示した。
また織田氏は、注目する視聴者行動測定、視聴率測定サービスの中からVisible Measureのビデオ測定ソリューションを挙げ、「このソリューションによって、再生、一時停止、早送りや巻き戻し、どの場面がよく観られたのか、友達にメールしたなど、新しい視聴者行動の計測が可能となる。人気のあるシーンが細かく審査され、クリエイティブにフィードバックをすることが可能となる。さらにサイト所有者は、これらの分析結果をもとにして、広告主に対してビデオ視聴行動の活発化を示すことにより、広告料金の交渉に役立てることができる」と説明していた。
Nielsenでは、インターネット、iPod、モバイルなどを経由したあらゆるビデオ視聴率の測定を視野に入れた「視聴率総合測定サービス」を目指しているそうだ。2009年末までに、約6万人を対象とした2万世帯をパネルに取り込むことを目標として掲げているという。
「Google TV Ads」にも言及していた。広告主は、「Google AdSence」を介して、TV広告を出したい「枠(チャンネル、時間)」を選択し、広告の視聴回数あたり最大いくら支払うかを設定することができる。一例としてNBC UniversalのケーブルTVチャンネルをはじめ、中堅ケーブルTVネットワークのCM枠が販売されているが、TV広告ネットの新たなクロスメディアキャンペーンとして、すでに米TOYOTAやP&Gなど大手企業が参加しているという。広告主は「Google Trends」や「Google Analytics」などを使って、スポットCMが検索行動やトラフィック誘導へどう影響したかを見ながら、随時キャンペーンの最適化が望めるという。
ときに、「ad:tech New York」は、オバマ氏の当選直後のことだったこともあって、「オバマだらけのad:tech」だったそうだ。オバマキャンペーンでは、従来のマスメディアに加え、ネット上の「Flickr」や「Facebook」などソーシャルメディアの活用、iPhoneアプリの「Call Friend」やゲーム内広告などをふんだんに活用し、「従来の無気力層と呼ばれる人たちを、夢のあるメッセージとゲーム感覚でキャンペーンに引っ張り出した結果、今回、初めて投票をしたアメリカ人の72%がオバマに投票をしたという結果に至った」そうだ。