半導体デバイス技術とプロセス技術に関する世界最大の国際会議「IEDM(International Electron Devices Meeting)」が今年も、12月15~17日(現地時間)に米国で開催される。世界中から2000名近いエンジニアが参加し、最大で8本もの技術講演セッションが並行して開かれる大規模なイベントである。3日間でのセッション数は、総計で37セッションに及ぶ。

IEDM 2008のロゴ

IEDMは毎年12月上旬~中旬に米国で開催される。開催地は西海岸のサンフランシスコあるいは東海岸のワシントンD.C.であり、両者が毎年、入れ替わる。今年はサンフランシスコが開催地である。会場はHilton Hotel。

半導体製造技術の開発状況をみると、65nm技術による半導体デバイスの量産が本格化しつつあり、45nm技術による半導体デバイスの量産も一部の半導体メーカーによって始まっている。今年のIEDM(IEDM 2008)では、その次を担う32nm技術の具体的な姿と、さらに微細な22nm技術を想定した要素技術が数多く披露される。

IEDM初日(12月15日):半導体チップと生体神経を結合へ

IEDM2008の初日は例年と同様に、プレナリセッションで始まる。午前中いっぱいで3件の招待講演が予定されている。

まずMax Planck Institute for BiochemistryのPeter Fromherz氏が、半導体チップと生体神経の結合をテーマに講演する。続いてBeing Advanced MemoryのStefan Lai氏が、不揮発性メモリ技術の将来を展望する。最後にシャープの佐賀達男氏が太陽電池開発のトレンドと将来性について解説する。

初日の午後はセッション2からセッション9まで、合計で8個のセッションが並行して開催される。各セッションにはサブテーマがあり、セッション2「プロセス技術(Process Technology)」は「高誘電率/金属ゲート(High-k Metal-Gate Integration)」、セッション3「CMOSデバイスとCMOS技術(CMOS Devices and Technology)」は「高移動度(Advanced Transport Enhancement)」、セッション4「ディスプレイ、センサ、MEMS(Displays, Sensors and MEMS)」は「薄膜デバイスおよびメモリ(Thin-Film Devices and Memory)、セッション5「キャラクタライゼーション、信頼性、歩留り(Characterization, Reliability and Yield)」は「酸化窒化膜および高誘電体膜におけるバイアス温度不安定性(BTI in SiON and High-k FETs)」、セッション6「量子デバイス、パワーデバイス、化合物半導体デバイス(Quantum, Power and Compound Semiconductor Devices)」は「高電圧パワーデバイス(High Voltage Power Devices)」、セッション7「固体およびナノ電子デバイス(Solid Sate and Nanoelectronic Devices)」は「スピンデバイス、電池、スティープスロープデバイス(Spin Devices, Batteries and Steep Slope FETs)」、セッション8「モデル化とシミュレーション(Modeling and Simulation)」は「低次元構造のモデリング(Advances in Modeling Low Dimensional Structures)」、セッション9「メモリ技術(Memory Technology)」は「相変化型メモリとユニファイドメモリ(Phase-Change and Unified Memory)」をサブテーマとして講演が予定されている。

まず興味深いのはセッション3である。AMDとIBM、Freescale Semiconductorの共同チームは、リン(P)をドープしたSi:C埋め込み歪みシリコン技術による高性能nMOSトランジスタ技術を発表する(講演番号3.1)。セッション6ではパナソニックが、破壊電圧が9300Vときわめて高く、オン抵抗が176mΩと低い窒化ガリウム(GaN)ダイオードの開発成果を披露する(講演番号6.5)。

セッション9にも要注目だ。MacronixとIBMの共同チームが、相変化型メモリの信頼性について講演する(講演番号9.1)。続いてSamsung Electronicsが、高性能な相変化型メモリ用のセル技術を発表する(講演番号9.2)。