SGI - Atomを使った高密度スパコン
SGIは、計算ノード間をキャッシュコヒーレントに接続して巨大メモリ空間を提供するユニットを展示していた。
このボードで最大64台の4ソケットサーバを接続し、128TBの巨大な共通メモリ空間を作ることができる。一般には、各計算ノードのメモリは数10GB程度でそれをInfiniBandなどで結合した分散メモリシステムが多いが、分散メモリの場合は、巨大なデータの分割や転送をプログラムに書くことが必要になる。一方、この装置を使って巨大な単一メモリ空間を作ると、プログラマとしては分割や転送を意識することが不要になり、プログラムの作成が容易になるというメリットがある。
また、今回Top500で3位となったNASAのPleiadesシステムに使われているAltix ICE 8200を展示していた。このNASAのシステムに使われたブレードはクワッドコアのXeonベースである。しかし、Sunと同様、説明板は無いのであるが、展示員に聞くとNahalemと答えたブレードが展示されていた。
また、IntelのNetbookなど向けの低電力プロセサであるAtomとメモリチップを小さな基板に搭載し、これを筐体の上に立っているプラスチックのモジュールに2枚収容し、それを写真のように3Uの筐体に詰め込み、高密度のスパコンを作るという「Molecule」というシステムのコンセプトを展示していた。
写真の筐体1つで360コア、360GBのメモリと6TBのSSDを収容する。ただし、Atomのボードは動作しそうではあったが、並んでいるモジュールはただのプラスチックの箱である。モジュール間の接続に興味があったが、持ち上げて見るとマザーボードとの接続は無く、ただ、モジュールの箱が置いてあるだけであった。
HP - コンテナ型のデータセンタ
HPCシステムのシェアではIBMと1、2を争うHPであるが、ブレードサーバなどを展示していただけで、目新しい製品展示は無かった。しかし、HPも、SunやRackableのようにコンテナにサーバを詰め込んだシステムを始めたようで、実物の展示は無かったが、以下の写真のようなパネルが展示されていた。
Rackable - 本物のコンテナに詰め込んだデータセンタ
昨年と同様であるが、Rackable社は、トレーラに繋ぐ本物のコンテナに詰め込んだデータセンタを展示していた。
そして、ドイツの計算センターであるHLRSは、ポルシェを始め、ドイツの自動車メーカーの設計計算を引き受けており、コンテナを引っ張る大型トレーラトラックの周りの空気の流れを解析した流体シミュレーション結果などの展示とともに、本物の大型トレーラトラックを持ち込んだ。
このRackableとHLRSの展示は、物理的なサイズとしては、今回のSC08における二大展示である。
NVIDIA - パーソナルスパコンを発表
NVIDIAはパーソナルスーパーコンピュータと銘打って、デスクサイド筐体にGPU4個を搭載するマシンを発表した。
お値段は9,995ドル以下と1万ドルを切る値段で、単精度ではあるが、3.732TFlopsの計算能力というが売りである。
ただし、パーソナルといっても、これが役に立つ用途を持っている個人がどのくらい居るのかは疑問であるが、面白い製品である。
QDR InfiniBand - 複数の出展者がQDR製品を展示
当初、InfiniBandはEthernetに比べてかなり価格が高かったので、Ethernetを使うスパコンシステムも多かったが、最近では価格差が縮まっており、高性能のクラスタ型スパコンのノード間接続は、ほとんどがInfiniBandを使うようになってきている。
ということで、今年の展示の目玉の1つが、転送速度を現状の主流のDDRから倍増し40Gbps転送を行う4倍速のQDR InfiniBandである。
写真のように、Voltair、Qlogic、Mellanoxなどが40GbpsのQDR製品を展示していた。しかし、静展示で活気が無く、現時点で本当に動いているのかどうかについては多少疑問であったが、近いうちには実用化されると思われる。