欧州で年間800万台販売するラジオ

実は、同社はインターネットラジオ「PURE」シリーズの販売も行っており、今回、日本での販売も検討を開始したという。すでに欧州では4~5年ほど前から複数の機種の販売を行っており、英国で年間数十万台の販売実績を持つほか、欧州全体で年間800万台を販売し、そのシェアは80%と圧倒的となっている。

インターネットラジオ「PURE」シリーズ(このほかにもさまざまな機種が存在する)

PUREは、世界中に1万あると言われるインターネットラジオ放送局の中から、問題のない8,000局を登録、ラジオ単体でお気に入りチャンネルリストの形成などが可能である。

ET2008の会場で展示されていた「PURE EVOKE」

また、ラジオ1つ1つが固有のIPアドレスを持っているため、そのアドレスをPCのブラウザに打ち込むことで、管理画面などを出すことも可能である。ただし、ソフトウェアのアップデートなどはラジオ単体で可能であるため、あまりこの機能は使用しないという。

なぜIPベンダの同社がラジオを販売しているのかというと、同ラジオの中に用いられているチップが同社のIPを使用しているから。詳細を述べると、1チップでインターネットラジオの処理が可能なSoCが同ラジオには搭載されているのだが、このすべての設計を同社が行っている。

実際の製品の販売は半導体ベンチャーの英Frontier Siliconが担当している。しかし、ベンチャーのため、同社の製品の販売が思うように行かず、それを補助するためにIMGがインターネットラジオそのものを製造、販売を開始したという。ちなみに、試作機を3,000台、試しに製造し販売を開始したら、あっという間に完売したという。

ちなみに、このSoCに使用されているプロセッサ「META」のIPも同社が独自に開発したもので、最大4本のマルチスレッド処理が可能であり、エンジニアはマルチスレッドということを考えずにアプリケーションを開発しても、自動的にマルチスレッド処理が実行され、通常のインターネットラジオの放送では2スレッドの処理だけで対応しているという。

「META」の回路ブロック図(右はPURE EVOKEを動かした時のプロセッサの稼働状況)

また、オーディオ系デコーダとして、MPEG-2、MP3、AAC、AAC+、WMA、Cook、AC-3に対応するほか、VoIP向けにPCM、CELP、AMRに対応している。

PUREのデモ機による処理能力の詳細(4スレッド稼働で233DMIPSを達成している)

なお、11月末頃には、iPodとのドッキングステーションを搭載したステレオスピーカタイプのPUREシリーズの新製品を市場投入する予定としている。