PowerVR以外のIPも提供
同社では、PowerVR以外のIPの提供も進めており、放送分野に最適化したハードウェア・コプロセッサ「Universal Communication Co-processor(UCC)」をベースにしたIP「Ensigma UCC Platform(UCCP)」を拡張したことも明らかにしている。
UCCは、RFをベースバンド変換や複素変換などの信号処理を行う「Signal Conditioning Processor(SCP)」に入力、その後、符号化/復号化を行う「Modulating and Coding Processor(MCP)」を経由して、最終的には誤り訂正を行う「Error Correction Processor(ECP)」を経てストリーミングとして出力されるというもの。
UCCPとしてはこれまで、DVB-TやDVB-H、DAB-IP、1-Seg ISDB-T、DABなどに対応した「UCCP220」などが提供されていたが、今回、対応規格と拡張した「UCCP230/234」の提供を開始した。
230はDVB-T、 DVB-H、T-DMB、DAB-IP、DAB、DAB+など、従来同様欧州の地上波デジタルおよびモバイル放送に対応するほか、日本の1/3/full-seg(13) ISDB-Tに対応しモバイルと地上波デジタル双方での使用が可能となった。また、FM-RDS(Radio Data System)にも対応している。
一方234は、DVB-H/T、T-DMB、DAB-IP、DABのほか、日本の1/3seg ISDB-Tに対応する。また、やはりFM-RDSにも対応しており、違いはfull-segに対応するか否かという点。
複数のマイクロコードを搭載するにも関わらずコアのサイズは大きくならないとのこと。ただし、それだけ処理性能を向上させる必要があるとしており、使用するプロセスとしては90nm、接続モニタとしてはXGA以上を最低条件としており、プロセスの推奨は65nmで、接続するプロセッサの動作周波数としては166MHzは欲しいという。また、full-segに対応とのことだが、B-CASカードの接続は必要で、組込機器、特に小型の携帯機器に搭載することになれば、カードサイズは大きすぎるため、何らかの対応策が求められることとなることは必須となっている。
なお、北米の地上波デジタル放送規格「ATSC」については、現在マイクロコードを開発中としており、2009年早々には対応する予定としている。