Googleの次はFacebookとAmazon.comとも連携

今年4月にSalesforce.comとGoogleが提携を発表した「Salesforce for Google Apps」は記憶に新しいが、同社はさらなる他社との連携も模索している。

Googleとの提携ではAdSenseやGoogle APIsの活用に加え、Salesforce.com側からGoogle Appsの各種ツールを呼び出せる仕組みの提供が行われていたが、今回はさらにFacebookとの連携でForce.com内にSNS機能を構築したり、Amazon.comとの連携で同社の提供するクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」の呼び出しを可能にするなど、さらにサービス活用の幅を広げることを主眼にしている。

Benioff氏はこれについて「われわれはサービスカンパニーだ。従来型のソフトウェア企業とは異なり、特定のプラットフォームにユーザーを縛ることもない。今後もさらに必要に応じて提携を推進していく」とコメントしており、さらにこうした連携が登場する可能性を示唆する。

提携その1は「Force.com for Facebook」で、文字通りForce.com側からFacebookの各機能の呼び出しを可能にする。基本的にはFacebook APIの呼び出しを行うものだが、Force.com for Facebookではこの作業とForce.comとの連携を容易にするためのツール群が提供される。同社では「Facebookをエンタープライズ対応SNSにするための布石となる」と述べており、単なるコミュニティサイトの枠を超える機能を提供するものになると説明する。ステージ上ではForce.com for Facebookを利用したリクルーティングのためのアプリケーションの構築例が紹介された。

Facebookとの連携を可能にするForce.com for Facebook。画面のデモはFacebookを利用してリクルーティング用アプリケーションを作っているところ

提携その2は「Force.com for Amazon Web Services(AWS)」だ。その存在は知られているものの、まだあまり活用例を聞くことのないAmazonのクラウドサービス「AWS」だが、新サービスではForce.com上からのこのAWSの呼び出しを可能にする。

今回連携が行われるのは「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」と「Amazon S3(Simple Storage Service)」の2つで、それぞれについてForce.comとの連携を行う各種ツールセットが提供される。

S3との連携はシンプルで、オンラインストレージ上のデータをForce.comから自由に操作できる。データのバックアップに使うのもいいし、ビデオや写真などの大容量データの保存場所にするのもいいだろう。

もう一方のEC2では、EC2上に置かれたアプリケーションをForce.comから呼び出すことが可能になる。これによりPHPやRubyなど、Apex以外で記述されたアプリケーションをForce.com上で実行できる。運用の柔軟性を向上させるための手段の1つだと考えていいだろう。

Force.comについてはさらなるアナウンスも行われている。例えば富士通傘下のGlovia.comが自身のERPアプリケーションをForce.com上にホスティングし、ユーザーが利用できる仕組みの提供が行われる。これはCRM専業を強調するSalesforce.comにとってソリューションの幅をさらに広げるもので、Benioff氏が示唆するように今後こうした提携がさらに広がる可能性がある。

AWSとの連携を可能にするForce.com for AWS。両社の持つホスティングサービスならではのメリットを活かし、さらなるソリューションの幅を広げる