企業のHPもSalesforceで――Force.com Sites
クラウドのようなホスティング型のソリューションのメリットは、まずコストメリット受けやすいことだ。
自前のハードウェアを持つ必要がなく、アプリケーションやOSなどの必要なインフラはあらかじめ用意されているため、初期導入費用やシステム構築費用がかからない。利用料金は人数あたりの定額サブスクリプションや時間ベースの従量制など、使用量に応じたモデルのため余計な費用がかからない。さらには専門のスタッフが24時間365日体制でシステム管理にあたり、ソフトウェアアップデートなどの定期的なメンテナンスも保証されるため、システム維持や管理に必要なコストもほとんどかからない。また、サービスによってはシステムのスケールも容易なため、可用性とともにスケーラビリティも高い点が特徴となっている。
基幹システムをアウトソースすることに抵抗を持つという意見も根強いが、例えシステムを自前で持とうがダウンタイムやセキュリティ上のリスクに遭遇する機会はある。適時コストやニーズに応じて柔軟に判断すべきだと考える。すでにサービスインから10年近く運用を続けてきたSalesforce.comのインフラだが、Benioff氏によればトランザクションが倍々ペースで伸びる一方で、レスポンスタイムはより短くなり、日々向上を続けている。Benioff氏は「Salesforce.comではトラフィックレポートを日々オープンにしており、その稼働状況をいつでも確認できる」と説明し、インフラ自体に高い信頼性があることを強調する。
そんなインフラとしてのSalesforce.comを支え、インフラ部分をサービスとして顧客ユーザーに提供するのが「Force.com」だ。すでにISVなどのパートナー企業はForce.comをベースに自前のアプリケーションやソリューションを構築しており、これをさらに他のユーザーに対して提供する仕組みも用意されている。アプリケーションのマーケットプレイスであるAppExchangeや開発言語のApexなどは、このForce.comのソリューションを支える要素だ。ここでいうForce.comは、どちらかといえば内部向けのアプリケーションを利用するインフラという側面が強いが、その次のステップとしてSalesforce.comが送り出すのが新サービス「Force.com Sites」だ。
Salesforce.com CRMやAppExchangeを走らせるインフラとしての印象が強いForce.comだが、新サービスでは企業のホームページやポータルサイトなど、アプリケーションやダッシュボード以外の要素もForce.comでカバーする。
例えば外部公開向けの企業ページを用意して内部データとダイナミックに連携させたり、場合によってはコマースサイトと接続するなど、使い方しだいでいろいろアイデアが膨らむものとなっている。期間限定のキャンペーンサイトをForce.com Sitesで構築するのもいいだろう。
今回のDreamforceでは、参加登録やアジェンダの閲覧が可能なイベントページはすべてForce.com Sitesで構築されている。このほかにもNJT(New Jersey Transit)の例などが紹介され、Force.comを通して簡単にダイナミックなサービスページが構築できることがアピールされている。
Dreamforceのイベント特設ページもForce.com Sitesを使って構築されたもの |
Force.com Sitesを使って構築されたNew Jersey TransitのページをiPhoneで見ているところ。デバイスの種類を選ばないのもクラウド側サービスのForce.comのメリットだ |
Force.com Sitesの詳細については開発者向けサイトで確認できる。