操作性やレスポンスの早さから財務応援を選択
以上のように、税理士事務所として一歩進んだサービスを提供している仲田パートナーズ会計だが、その根幹を支えているのはやはり自計化である。そして、その自計化に利用している会計ソフトが、エプソンが提供する「財務応援」だ。
同社が財務応援を採用したのは10年前のこと。以前は、業界最大手の1つに挙げられるA社のシステムを利用していたが、「専用端末からサーバにデータを送信しなければならず、入力効率もレスポンスも悪かった。さらに帳票を手にするまでにかなりの時間がかかった」(仲田所長)と振り返る。
こうした問題を解消すべく、スタンドアロンで動作する代替の会計ソフトとしてB社の製品を導入。その後、税理士仲間から財務応援の評判を聞き、試しに1台のPCにインストールして使った。その結果、「操作性が高く、レスポンスも良い。見たい帳票もパッと出てくる。その上、費用は1/10程度。必要な機能も揃っていた」(仲田所長)ため、採用を決めたという。
当初は、B社のソフトウェアと財務応援の2種類を用意し、担当者には「好きなほうを使ってよい」と選ばせていたが、徐々に財務応援の比率が高まり、1年後には9割に達した。これを受け、業務効率を考えて財務応援に一本化。自計化の概念が定着し始め、各社でさまざまな会計ソフトが利用されている現在においても、「ツールの勉強に大きな時間を割きたくない」(仲田所長)との理由から「応援シリーズでなければ担当できない」と宣言しており、他社ソフトを利用している企業には他の税理士/会計士事務所を紹介している。
「本音を言えば、税理士事務所の経営を考えると、他社ソフトをサポートしないというのは言いたくない」と笑いを誘った仲田所長だが、会計ソフトを統一したことで得られた利点は大きかったという。
「各人の習熟度が上がり、導入指導やエラー対応までできるようになった。その結果、安心してお願いできるという評判につながっている。さらに、弊社では、メールで帳簿データを受け取り、訪問前に内容をチェックするといったことも行っているが、何種類もの会計ソフトに対応していたらおそらく業務がパンクしている。3カ月前対策や経営計画などとは言っていられないはず」(仲田所長)
業務効率化、迅速対応にも貢献
他の事務所で働いていた経歴を持つ竹崎氏は、「仲田パートナーズ会計の担当者は環境に恵まれている」と話す。
「仲田パートナーズ会計では、ノートPCに財務応援を入れてあり、それを持ち歩いて顧問先を回っている。顧問先で話し合いながら数字を修正できるし、データを動かしながら経営計画について相談することもできる。専用端末を利用している場合は、紙の帳票を基に話し合いを進め、事務所に帰ってから入力作業を行わなければならず、どうしても非効率的になってしまう」(竹崎氏)
さらに、顧問先を回っている最中に税務に関する電話問い合わせがあった場合も、「ノートPCを開いて帳簿を見ながら、その場で回答することができる」(竹崎氏)という。迅速に対応することで顧客満足度も上がるうえ、業務の効率化にもつながっているようだ。
そして、経営計画に役立っているのが、財務応援のシミュレーション機能(※)である。仲田パートナーズ会計では、財務応援のシミュレーション機能と独自のエクセル表を使って経営状況を分析している。ただし、エクセル表は「データを見やすくするための補足ツール」(竹崎氏)であり、数字に強い人であればシミュレーション機能だけで十分だという。
※ 「財務応援Super」にのみ搭載されている機能で、「財務応援Lite」には入っていない。
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自計化を推進し、税務知識を十分に生かした経営支援を行っている仲田パートナーズ会計。その根幹を支えているのが財務応援だと言える。経営上の変化を把握し、目標との差異を明確にすることができる同ソフトウェアは、企業経営に欠かせないツールと言えそうだ。
仲田パートナーズ会計
1970年に開設。税理士、ファイナンシャル・プランナー、宅建取扱主任者など、28名の社員を抱え、顧問先企業は450社を超える。「"1つ"で抜本的に改善できるものなどない」との考えの下、小さいことをたくさん改善するという方針で、税務を超えた経営サポートを実施。自計化も、小さな改善を積み重ねるための必須実務として顧問先に推奨している。「私たちは、人に喜ばれることをして心のあたたかさを築きます」という社是を掲げ、従業員の良い行いに対して、円に換金できるおもちゃの$紙幣(社内のみ流通)を支払う「ダラー制度」を導入するなど、人間味にあふれる企業経営を展開している。