今さら地デジ? ではない、このままでは死活問題
笹本氏 「よく『なぜ今さら地デジ?』という声もあるのですが、現状は、国内世帯で所有するテレビが1億台、そのうち3千万台しか地デジ対応されていない。残り2年で7千万台をどう普及させていくのか。このまま台数が伸びなければ、テレビ業界としては死活問題となってくるわけです。
視聴率のサンプル数が取れなくなるなど、いろいろな問題にも繋がる。Windowsに標準搭載されることで、地デジ対応PCのプライスゾーンが下がれば利用者側からもメリットであるし、普及ゾーンが広がる。PCを売っていきたいというのはあるが、テレビかPCかはユーザーの選択肢だと思っています。それと自分の部屋で見たり、ワンセグで見たりと、テレビの見方が20年前とは確実に違ってきている。
その環境にあったサービスやプロダクトを今後出していく時に、今からオンラインを意識した連携をテレビ局とやっておくことで市場が回っていくだろうという狙いもあります」
来年以降の市場を見込んで、土台作りを地道に行っているといったところだろうか。今回、インターネット経由でスカパー!の番組を受信できる「スカパー! Netてれび」を発表した。Windows Vista Home Premium / Ultimateの標準搭載機能である「Windows Media Center(WMC)」向けに配信するもので、まずは「ナショナル ジオグラフィック チャンネル」「Baby TV こどもえいごチャンネル」など4つの番組からのスタートとなった。今後ディズニー・チャンネルなどのチャンネルを加えていくという。
CEATECでスカパーJSATとの提携サービス「スカパー! Netてれび」を発表。写真右は、スカパーJSAT 取締役 執行役員副社長 スカパー事業部門長 仁藤雅夫氏 |
Windows Vista上でスカパー!のコンテンツを楽しめる。各PCメーカーから対応PCが展示されていた |
専用プログラムをインストールすればWMC上で閲覧でき、クレジットやモバイルSuicaといった有料コンテンツの決済手段も揃えているので、専用チャンネルを手軽に見たいと考えているユーザーにとって便利なサービスだと思っているが、その便利さや手軽さをエンドユーザーにどこまで伝えられるかは、結構な大仕事でもあると筆者は感じている。消費者の描く「パソコンでテレビ」のイメージが一昔前のものだからだ。言葉だけでは新しさを感じない消費者たちが、そのサービスに手を伸ばしてくれるまでに利便性を感じてもらうには、体験してもらうしかない。「便利だよ」と言われただけでは動かない消費者たちに製品やサービスをどう浸透させていくか。ここは相当なブレーンとマンパワーと仕掛けが必要だ。
ここで見えてくるのは「消費者との壁」だった。