女子だって本当は悩んでいる

酒井 実は私、子供の頃、学校でトイレに行くのもお弁当を食べるのもひとりで平気だったんですよ。男子に「おまえいつもひとり~」なんてからかわれたりして。

川島 酒井さん、それは例外ですね(笑)

酒井 それである人から「あなたは前世でずっと男性として生まれてきたけれども、今回はじめて女性の苦しみを知るために女性に生まれたんです」って言われました。すごく納得しちゃって(笑)、そういえば子供の頃も仮面ライダーとか特撮モノが大好きだったけれど「なかよし」は読んでいなかったですね。

川島 じゃ、男の人といる方が落ち着くんじゃないんですか?

酒井 そうですね。たとえば、男の人にキツいことを言ってしまっても、けっこうゆるしてくれたり、忘れてくれたりしますよね。でも、女の人は忘れないし、ゆるさないこともあります。自分もそうなんですけどね。どこに地雷があるか分からないじゃないですか。私はけっこう思ったことを口にするタイプなので、地雷を踏んじゃって、次の日から気まずいということもよくあったんですが、理由を聞いても納得できないし、一人のほうが気楽だなって……。

逆に男性の場合、息子の友達なんか見ていても、すごくやさしい。「許し」の範囲が広いっていうか。天然の痛い発言とか女性同士だったら仲間はずれにされるような過ちをしても、男の場合は「お前どうせ空気読めないし(笑)」って言って許されちゃう。ただそれを男同士でなく、男女の関係に持ち込むのはやっぱりまずいんです。

川島 良いこと言いますね(笑)。人間関係のマナーって、女性は確立されたものがあるんですね。難しい話なんですけど「ポライトネス理論」っていうのがあって、人間関係は「礼儀正しければ良い」っていうものではないんです。同じ人に対し○○さんっていうのと○○ちゃんって言うのは違いますよね。初対面だったら礼儀正しいだけでいいんですけど、親しくなると距離が詰まってきますよね。

酒井 女性は「距離の詰め方」に対する嗅覚が鋭いです。「ここで詰めちゃえ!」とか「間」とか。男子はそれがない。「いきなりここまで詰めるのか!?」みたいな。女の子ってそういった「自分にとっての異物」からは逃げ出すものなんです。

川島 女性に対する距離の詰め方について、男子は苦手かもしれませんね(笑)。逆に僕のセミナーに来る女性を見ていると、礼儀正しい部分だけで終わってしまって、内面的な人間関係が構築できないという悩みを持っている生徒さんが多いです。ちゃんとしたいがために疲れ果てて、自分をさらけだせなくて悩んでいるんです。

酒井 女性同士の場合は、どこに地雷があるか分からないですから、地雷を踏みたくないと礼儀正しくするしかないんですよね。

川島 女性の場合は石橋を叩いて渡るような会話の文化がありますね。リスクをとらないというか。相手を傷つけないように会話をするので、逆にそこに神経を使いすぎるのです。男性の場合はあるていど無礼でも、「シャレの通じる奴だ!」で済むので楽ですね。

酒井 女の子同士の関係で悩んじゃう人って、統計をとった訳じゃないけど、経験上、男兄弟しかいない人が多い気がします。私は妹がいるから「友だちとうまくいかなくても、妹がいるし」みたいなところがあるんです。一緒に遊べるし、悩みも話せるし。逆に男兄弟しかいない女子の場合、女子同士の付き合いに積極的にならざるを得ない。

川島 僕のセミナーの生徒さんで、そういう悩みを抱えている人もいます。実はバリバリのキャリアウーマンで、仕事など男性との人間関係はうまくいくんだけれども、対女性ではうまくいかない。男性社会に生きている女の子でそういう子が多いですね。