女子をホメることの大切さ、難しさ
――今回の対談のきっかけは、酒井さんが、川島先生の著書『人が怖い ~自分を変える! 対人コミュニケーション改善法~』のテーマに非常に興味を持たれたことなんです。ズバリ、川島先生は対人コミュニケーションのプロとして「理系のための恋愛論 理系脳 v.s.女子脳」を読んでどんな感想をお持ちになりました?
川島 「理系のための恋愛論 理系脳 v.s.女子脳」のあとがきにこんな一節があるんですよ。『男性の皆さんもほんのちょっと身だしなみに気をつかって、相手を認めて、受け入れているようなコトバ(「基本、うん、そうだ」というだけでいい)を言うだけで、女性と親しくなる道が出来るようになると思います』。
まさしくこれなんですよ。相手を受け入れて認めてホメること。これがモテるかモテないかにつながっちゃう。すると女性のいい反応も返ってくる。これを繰り返せば「ホメるよろこび・楽しみ」みたいなものもでてきます。
酒井 相手を受け入れる、認めるってことに関して言うと、男の人って初対面で、自分が好きじゃないタイプの女性への態度が凄くはっきりと出ちゃう。「好みじゃない」とか「こういうタイプ苦手」とか……。本人はバレていないと思ってるんだろうけど、女の人にはバレバレです。女の人はそこまで顔には出さない。逆に出すときはわざと出す。これはかなり危険なサイン(笑)。合コンとかに行って「好みじゃない」みたいな男子の表情、女子からすれば「我慢してくれてもいいのに……」という感じです。
川島 合コンとかだと確かに男性は○か×かは選別的に出ちゃうのかもしれませんね(笑)。可愛い子には馴れ馴れしくなるとか。
酒井 「ここまで鼻の下のびるのかー」って思いますよね(笑)
川島 男性を代表してお詫びします(笑)
――確かに女子に分け隔てなく接したりホメたりする男子の方がモテるとはよく言われます。でもそれが出来ない不器用な男子はどうすればいいんでしょう?
酒井 もう開き直っちゃうというか、キャラにしちゃうのもありですね。「みんなかわいいから~」って心にもないコト言ってるってバレてるけど、ずっと言い続ければ、女子も「また~、いつも口ばっかり~」と言いつつもニッコリしちゃう(笑)。それで信用されなくなる男子もいれば、逆にモテちゃう男子もいますが、逆に信用されなくなってしまった男子が気になる子に本気で言えば「あの彼が本気で言ってくれてるんだー」って理解してもらえる。
川島 心をこめるって確かに簡単ではないですね。だから最初は形からだけでいいと思います。失敗してもいいと思いますので、まずはホメてみることをオススメします。ホメ方にもよりますが、大概の女性が笑顔で喜んでくれるでしょう。女性の笑顔は男性にとってのサプリメントみたいなもので、喜んでくれるととてもうれしいですね。相手を喜ばせることで、自分自身も喜びをもらえる経験を積み重ねるとそのうち本当に心がこもってきます。「オレがなんで(たいして好きでもない子を)ホメなきゃなんないの?」っていう頑な意識を変えることは大事なんです。 。
酒井 普段そういうことをやってない男子に急に好意を示されると、女の子って引いちゃうもんなんです。挨拶もろくにしない人から急に馴れ馴れしくされると「何なの~!?」って思います。逆に「おはよう」「お疲れ様」ってちゃんと言える人であれば「そのスーツいいですね」って話も広がる。女の人は日常的に男子を総合判断してますね。男の人は気付いてないと思ってるかも知れないけどそうじゃないんです。挨拶にしろ何にしろ、普段の行動を総合的にみて判断しています。
川島 仕事に関してはどうですか。仕事に対して誠実な人といい加減な人では?
酒井 私に関して言えば仕事に誠実な男性が好きなんですけど、女性全般は以外とそうじゃなかったりもするんです。「オレは仕事でも何でも、こんなにマジメで誠実なのに」って言っても女子に対して意外とウリにならなかったりする。
――そのへん、難しいですね。男子への観察眼が一般的に鋭い女性でも、実は付き合ってみるとダメ男に引っかかっちゃうとかありますし。そういえば、ダメな男性とそれを支える女性が意外とバランスの良いカップルに見えたりすることもありますが、この辺はどうなのでしょうか。
川島 心理学的に「共依存」っていう概念があるんですよ。しっかりした女性がダメな男と延々と付き合っているのは「私がいなければこの人はやっていけない。そしてこの人の面倒を見ている時の私が一番輝いている」っていう意識がその女性の存在意義になっている。ハタからみると暴力とかめちゃめちゃな状況になっている場合もあるんですけど、彼女の意識はそうじゃない。でもそこまで悪化する手前の手前くらいなら、人間関係のキャッチボールでちゃんとした関係は築けると思いますよ。
酒井 逆にダメ女としっかりした男のカップルもいますよね。夏目漱石の奥さんは酷かったらしいですよ。漱石がイギリスに留学しているとき、まじめだからしょっちゅう手紙を出すんです。「何時に起きた?」とか。そしたら「11時」とか(笑)。朝ご飯も作らないで冷えた昨日の晩ご飯しか出さないとか。それなのに漱石は奥さんに対しても几帳面だったらしいです。あの時代なのにすごいですよね。