8月26日のHOT CHIPSの最初のセッションはFGPAのセッションであり、Xilinx社と、Altera社から最新のFPGAの発表が行われた。最初にXilinxのPeter Alfke氏が同社のVirtex 5 FXTについて発表を行った。但し、このFXTシリーズは既に発売を開始しており、論文発表というよりは、マーケティングトークに近い発表であった。

Xilinxは任意の論理を実現する基本回路をCLBと呼んでおりおり、Virtex-5 FPGA のCLBは前の図の4入力ではなく、任意の6入力論理を実現できるように強化されている。当然、6入力LUTの方が機能が高いので、同社は、CLB 1個は標準の4入力LUT+FFと比較して1.6倍の論理を実現できると称している。

65nmプロセスで製造されるVirtex-5は、最大規模のチップは207,360個のCLBを搭載しており、これは331,776個のロジックエレメントに相当するという。Virtex-5の最初のLXシリーズFPGAは2006年5月に発売されており、その後、高速シリアルI/Oを搭載するLXTシリーズ、DSP機能を強化したSXTシリーズが発売され、そして、今回のHOT CHIPSで発表が行われたFXTシリーズに至っている。

FXTシリーズFPGAでの新しい機能は、PowerPC440コアの内蔵、6.5Gbpsの高速シリアルI/Oのサポートである。Virtex-5以前のFPGAでは、マイクロコントローラとしてPPC405を内蔵していたが、それを今回のVirtex-5 FXTシリーズではPowerPC440にアップグレードした。

Virtex-5内蔵のPowerPC440プロセサの構成(出典:Xilinxの製品カタログ)

そして、この図に示すように、PowerPC440コアに加えて128ビット幅の5×2クロスバを持ち、これを経由してメモリへのインタフェースと4組の32ビットDMAコントローラを接続している。そして、PLBバスには低速のI/Oアダプタが接続できる。また、PowerPC440コアの図の左側に書かれた128ビット幅のポートにAPU(Auxiliary Processing Unit)を接続できるようになっている。

なお、PowerPC440は、スーパーコンピュータのBlueGeneのプロセサコアとしても使用されており、小規模であるが、性能の高い組み込みプロセサである。また、BlueGeneでは、 2個の倍精度浮動小数点演算器をAPUとして接続して高性能を実現している。

Virtex-5 FXTシリーズのもう一つの特徴は、6.5Gbpsの高速シリアルI/Oのサポートである。高速I/OはLXTシリーズでサポートが開始されたが、LXTシリーズの高速I/Oを3.75Gbpsが最高速度であり、今回のFXTシリーズでは、それを6.5Gbpsに引き上げている。