オープンソースCRM 代表取締役社長 内田隆平氏 |
米SugarCRMが開発している「SugarCRM」は、オープンソースで開発されているCRM (Customer Relationship Management) ソフトウェアであり、日本ではオープンソースCRMが正規代理店として販売している。発表会では、そのオープンソースCRMで代表取締役社長を務める内田隆平氏により、SugarCRMにおけるMySQLの活用事例が紹介された。
SugarCRMには基本機能をGPLv3に基づき無償で提供する「Sugar Community Edition」と、中規模から大規模組織向けの有償版である「Sugar Professional」「Sugar Enterprise」の3製品がある。このうち有償版は世界中で約4,000社に導入されており、無償版についてもダウンロード数でCRM部門では業界No.1を誇っているという。
そのSugarCRMの動作基盤として使われているのがMySQLとのこと。同製品がMySQLを選択した理由を内田氏は次のように語っている。まず第一にオープンソースであって無償版に配布制限がないこと。SugarCRM自身が無償版と有償版を持つデュアルライセンスでの配布形態であるため、DBMSもその条件で使えるライセンス体系でなければならない。この時点でほぼMySQL以外の選択肢はないと同氏は言う。
それに加えて、処理が高速かつ正確でありエンタープライズの用途に耐えられること、スケーラブルであることなどが条件に挙げられるが、MySQLならばそれもクリアしている。さらに、重要なのはサポート体制だ。SugarCRMが世界中でグローバルに展開するため、DBMSも世界のどこでもサポート体制が整っていなければならない。MySQLはこの条件もクリアしており、「もうMySQLしかないというのが実態」(内田氏) とのこと。
そして現実に、MySQLはSugarCRMをバックグラウンドで支える非常に高い性能を発揮していると同氏は言う。次の図は数百ユーザが同時にランダムなオペレーションを発生させた場合のレスポンスタイムを計測したベンチマーク結果とのこと。ほぼすべての処理を2秒以内に終了していることがわかる。
このようにオープンソースであるMySQLが、同じくオープンソースであるSugarCRMによって活用され、エンタープライズ分野で着実に実績を残しているという点が興味深い。Sunによる買収直後にはその後の動向を不安視されたこともあったが、IBMやSugarCRMをはじめとする多くのベンダーとの協業により、エンタープライズ分野での今後の躍進が期待できるだろう。