中国インターネットネットワーク情報センター(CNNIC)はこのほど、中国のネットショッピングに関する調査研究報告書「2008年中国網絡購物調査研究報告」を公表した。CNNICはインターネットに関する調査研究、統計作成などを行う専門機関で、中国はもとより世界的に大きな影響力を持っている。本レポートでは同報告書などのデータを分析し、中国におけるネットショッピングの現状を明らかにしていきたい。
ネットショッピング利用率は上海がトップ
ネットショッピングは中国においても、B2B/B2C/ C2C/G2B (Government to Business)の4種類があるが、CNNICの報告書では個人ネットユーザーによるネットショッピングの実態解明という観点から、B2C、C2Cの2種類に焦点を絞っている。
CNNICは北京、上海、広州など、中国10大都市のネットユーザーから無作為で抽出した計2,600人(北京、上海、広州各400人、天津、ハルピンなど6都市各200人)を対象に電話による聞き取り調査を行った。報告書はこの調査から得られた豊富なデータを踏まえて作成された、きわめて信頼性の高いものだ。
ネットユーザーの中で半年以内にネットショッピングをしたことのあるネットユーザーが占める割合を都市別に見ると、上海がトップで45.2%、北京が二位で38.9%、広州が三位で31.9%。この3年以外の7都市平均では21.6%、10都市平均では27.9%である。このことから、10都市を平均すれば、ネットショッピングをするネットユーザーが全体の3割にも届いていないことが分かる。
今年2月にCNNICが発表した「第21次中国互聯網絡発展状況統計報告」では、各都市のネットユーザー総数をベースに上記の割合に基づいて計算している。これによると、上海、北京、広州3大都市のネットショッピング利用者数がそれぞれ375万人、287万人、126万人。10大都市合計では1 ,598万人にも上る。巨大な人口母数を考えると、中国のネットショッピングの潜在的市場規模は現状でも決して小さくないことがわかる。
ネットショッピング利用者の半年間の1人当たり購入金額をみると、上海は1,107元(約1万7,270円)、北京は1,098元(約1万7,130円)、広州は856元(約1万3,354円)で、10都市平均では966元(約1万5,070円)となっている。
1人当たり購入金額にネットショッピング利用者数をかければ半年間の購入総額が得られる。これによると、上海では42億元(約655億2,000万円)、北京は31億元(約483億6,000万円)、広州は11億元(約171億6,000万円)、10都市合計では162億元(約2,527億2,000万円)となる。金額ベースでみても、ネットショッピング市場が大きな市場に成長してきている状況が見て取れる。
一方、「第21次中国互聯網絡発展状況統計報告」によると、ネットショッピングはインターネット利用目的の第10位。ネットユーザー人口が「世界一」となった中国において、ネットショッピングの利用率はいまだに低いレベルだが、消費者数からみるとネットショッピング市場が極めて大きな将来性を持っていることがうかがえる。