Rubyでイノベーションを - Rubyビジネス・コモンズ

設立総会では、Rubyビジネス・コモンズ会長の最首氏が記念講演を行った。氏は、日本最大のRubyコミュニティの活動状況やRubyを取り巻く環境について語った。

Rubyビジネス・コモンズは2007年7月31日に設立。以来、約1年間で実に39回のイベントを開催したという。合計の参加者数は約3400人。このうちの24回が勉強会だ。最首氏は「(Rubyは)インターネットにこんなことがあったらいいなと思うことを簡単に実現できる技術。勉強会では、わかる人同士が会話するのではなく、わからない人がわかるようになることを目指している」と述べた。

勉強会は2種類あり、技術の勉強会は「イケテルRails勉強会」と呼んでいる。"実践で役に立つコンテンツを1日で学べる"をモットーとしたもので、プログラミングの経験の有無を問わず参加を受け付けている。朝10時に集まり、持参したPCに環境を構築することからはじめる。チームを作り交流をしながら作業を進め、夕方5時ごろには完成するという。

「できるという部分をまず味わってもらうことが大切。学習は後で自分でできるから」(最首氏)

もう1つの勉強会が、ビジネスを勉強することを目的とした「イケテル・ビジネス勉強会」だ。「提案書の書き方ではなく、そこに何を込めるかが重要」(最首氏)という問題意識から開催に至ったと言い、これまでに"ネットメディアについて考える"などをテーマとして取り上げてきた。やはりチームでアイディアを出し合いながら進めているという。

福岡県で始めた勉強会だが、他の都市からの要望も多く「その土地に自ら行動する人がいることを前提に、その人たちにコンテンツを提供する」という条件の下に、同様の勉強会を東京、名古屋などの都市でも開催しているという。

多数派は非エンジニア - ITを必要とする人がうむイノベーション

「実際に活動しながら驚いたのは、ソフトウェア開発企業以外の参加者が予想以上に多かったこと」(最首氏)という。Rails勉強会では、ソフトウェア開発企業に勤務する人は37%、それ以外が63%となるなど、エンジニア以外の参加者が大多数を占めている。ビジネス勉強会でも、ソフトウェア開発従事者は43%、それ以外は57%。「Rubyビジネス・コモンズはエンジニア集団ではなく、ITを必要とする人の集まり」と形容する。

最首氏が着目するのは、この逆転現象だ。ソフトウェア技術を本当に必要としている人はエンジニアとは限らない。多くは、それを手段として効率や利便性を提供したいと思っているエンジニア以外の人たちであり、ソフトウェアにおけるイノベーションはそこから起こると信じるからだ。ソフトウェア開発以外の参加者が過半数を占めるRubyビジネス・コモンズには、「イノベーションの特質が凝縮されていることを感じる」と最首氏は目を輝かせる。

最首氏は、Rubyビジネス・コモンズ、さらには今後連携していくF-Rubyを「異業種が集うクロスカルチャーな活動にしていきたい」と述べる。そして、Rubyからイノベーションが生まれるという思いを込め、「Rubinnovation」という言葉を提唱。これが「F-Rubyに寄せる期待だ」とまとめ、降壇した。