「THE BODY SHOP」店舗にて、店舗maticを操作中のスタッフ。「SaaS導入への抵抗は私自身はもちろん、社内にもほとんどありませんでした。社内のITシステムの運用を変えずに導入できたのがよかったですね」(新妻氏) |
実情に合わせて、システムをどう運用させていくかという点については、同社なりの「割り切り」がある。それは、このシステムを「本部と店舗間のコミュニケーションポータルとしてのみ利用する」ということだ。
たとえば、店舗での顧客の声をこのサービス上に集約したり、社内ラーニングシステムとして利用したり、販売実績データをやりとりしたりといったことは、今のところ想定していない。実際、業務システム、情報系システム、動画DBなどはそれぞれに適したシステムを用いており、店舗運営に必要な業務のみを店舗maticでまかなっているのである。これにより、その時々の実情や業務に最適なシステムによる柔軟な対応が可能となる体制を採っているのである。
また、一般に、Webを通じてサービスを提供するASP/SaaSサービスのメリットとしては、リアルタイム性、情報の一元化、迅速な展開、汎用サービスの提供、低価格などが挙げられる。また、デメリットとして、情報漏洩、通信障害、カスタマイズ性の低さ、他システムとの連携の不備などを不安視する声が多い。店舗maticは、IIJの通信基盤、ドリーム・アーツの技術開発力、ネクスウェイの販売ノウハウによって、それらのデメリットの解消を図りつつ、メリットを生かした製品となっているが、ユーザーであるイオンフォレストでもまた、製品のメリットとデメリットを見極めながら、同社のニーズとうまく合致させたわけだ。
コミュニケーション基盤を刷新した同社が目指すのは、ザ・ボディショップの本来のミッション -- ビジネスを通じて、社会・環境の変革をめざす -- というものであることに変わりはない。環境や人権などに対する意識がようやく根づき始めた日本において、今後、同社がどういった役割を果たしていくのかにも期待が集まる。新妻氏は、「これからも店舗を通じたさまざまな取り組みを進めていきたい。IT側では、それにどう貢献できるかを常に考えながら活動していくつもりだ」と語る。