天然材料をベースにしたボディケア、スキンケア商品で人気を集める化粧品専門店「THE BODY SHOP(ザ・ボディショップ)」。英国を本拠に世界58カ国で2,300以上の店舗を展開する同社は、動物愛護、環境保護、人権擁護をめざした各種キャンペーンなど社会的活動に積極的に取り組む企業としても広く知られている。創業者であるデイム・アニータ・ロディック氏が1976年の創業時より掲げる「ビジネスを通じて、社会・環境の変革をめざす」というミッションは、いまや、ユーザーである女性消費者からの共感を得ることだけにとどまらず、企業がCSR活動の一環として取り組むべき1つの理念としても定着した感がある。

そんなザ・ボディショップの国内展開を、日本1号店となる表参道店のオープン以来、一貫して手がけてきた企業がイオンフォレストである。イオンのグループ企業として1990年に設立された同社は、全国規模での店舗展開を積極的に進め、現在では、北海道から沖縄にわたる全国170店を直営/フランチャイズで展開するまでに成長した。そうした同社の成長を支えてきたのは、ザ・ボディショップが体現する理念や、その理念を実現するための店舗でのさまざまな取り組みにあったことは言うまでもない。

7月に本部と店舗間のコミュニケーション基盤を刷新した「THE BODY SHOP」(写真は表参道店)

たとえば、簡易包装への協力の呼びかけ、寄付金付きエコバックの販売、啓発リーフレットの配布、高齢者や家庭内暴力(DV)被害者女性に対するメイクアップ/ハンドマッサージの実施、地域ボランティアへの参加……そういった同社の取り組みが、消費者の共感を呼び、それがビジネスの成長を支えるという好循環をもらたしてきたわけだ。

イオンフォレスト 管理本部 IT部長 兼 総合企画室担当部長 新妻貴氏

もっとも、こうした"ビジネスと社会改革の両立"は、店舗があってはじめて可能になるものだ。しかし本社・店舗間のコミュニケーションに関しては長きに渡り課題であったが、的確に解決できる打ち手には乏しい状況であった。イオンフォレストの管理本部でIT本部長 兼 総合企画室担当部長を務める新妻貴氏によると、店舗・本部間の業務連絡に利用していたメールによって情報の洪水が生じていたのである。

「この数年でビジネスが成長路線を歩むに伴って、業務連絡に利用していたメールの量が急増し、店舗マネージャがその処理に忙殺されるようになった。情報量の増加に伴って、マネージャがバックヤードで処理する時間も増加していった。当社の社員は皆、ビジネスを通じた社会変革という企業理念に共感して入社した。その活動の窓口である店舗に立てなくなることは、自分の存在理由がないと言われているのに等しい」(新妻氏)

メール処理のような、1つ1つは短時間で済む作業でも、量が膨大になると、店舗の運営には大きな影響を与える。まして、店舗での取り組みをベースとして事業を成長させてきた同社にとっては、ビジネスの根幹を揺るがしかねない事態だったのである。