では、Dellはどうやって成長路線に転換できたのか。「Dellが市場成長以上の伸びを見せた理由のひとつに、強固なチーム編成がある」とする。

Dell CEOは、新たな組織の編成に向けて、6カ月間に15人の候補者と面接したという。「Dellが求める新たなスキルを持った人材を採用する必要があった。たとえば、Dellは、サービスビジネスへと踏み出す必要があった。単なるメンテナンスサービスを越えて、ユーザー企業のなかに踏み込んだサービスビジネスの確立が必要であった。Dellが採用した人材は、CIOとして多くの経験を持ち、サービス事業を推進している大手企業のCOOの経験もある人物だった。彼を抜擢したことで、まったく新しい形のサービス事業が構築されつつある。Dellが求めていた才能、素質を持つ人材がみつかったことが成長の原動力になっている」と語った。

そして、2つめに挙げられるのは、コンシューマ市場および新興国市場へフォーカスした点である。

「大手企業、官公庁のシェアは市場全体の22%の構成比にしか過ぎない。Dellはここで強みを発揮してきた。だが、残りの78%の市場ではDellはまだまだシェアを拡大する余地があった。とくに、市場全体の40%を占めるコンシューマ市場におけるシェアが低い。そうした市場を拡大するために、新たな流通ルートへ踏み出した。現在、全世界で1万2,000店舗の販売店で、DellのPCを購入することができる。こうした施策によって、Dellのコンシューマ市場におけるシェアは6%にまで拡大した。

大企業ユーザー、中小企業ユーザー、コンシューマユーザーのうち、最もPCを乗り換えやすいユーザーはコンシューマユーザー。良い製品が出れば、すぐに乗り換える。Dellのグローバルシェアが伸びているのは、コンシューマ向けに最適な製品を提供できているからだ。他のメーカーはその代わりにシェアを失っている。最新四半期の実績を見ても、Dellのコンシューマ事業が急速に立ち上がっていることがわかるはず。これから6カ月、12カ月後のコンシューマ市場におけるDellのシェアを楽しみにしてほしい」とした。

新興国におけるシェア拡大策にも余念がない。「中国では、最大手の家電量販店とDellのPCを取り扱うことが決定した。中国全土に900店舗を持つその量販店では、500店舗でDell製品を取り扱っている。3カ月を経過した時点で、Dellは先行する2つのブランドよりも高いシェアを獲得した。品質の高い製品を適正な価格で展開すれば、新興国においてもデルは高いシェアを獲得できることを証明した」と語った。