NTTデータ社内SNS「Nexti」とは
NTTデータ ビジネスイノベーション本部 中沢剛氏 |
次に、NTTデータ ビジネスイノベーション本部 中沢剛氏によるNTTデータ社内SNS「Nexti」の紹介があった。「Nexti」はセクショナリズム打破を目的として社員ひとりひとりという"個"に着目した社内SNSだ。2006年4月にオープンし、現在の登録メンバーは6,200人。クチコミのみで広がり、開始後2日間で1,000人、4日間で2,000人が参加したという。3日に1回ログインするアクティブメンバー率は1,700名、1日に1回ログインするユニークメンバー数は1,000名強と、アクティブ率が高く、物珍しさというフェーズを超えて使われ方が安定しつつあるとした。
「Nexti」の特徴として、本業を抱える社内ボランティアメンバーによる運営、参加は紹介性&自己申告制であること、誹謗中傷を防止し自分のこととして語ってもらうことを期待した実名性であること、運営者は最低限のルールのみを定め活用法は社員の自由な発想に任せていること、"ネットのタバコ部屋"として遊びの部分を重要視していること、立ち上げ当初の雰囲気作りとして初期メンバーが事前にお手本となるようサクラ的行動していたこと、関連スタッフ部門の巻き込み、メディアの取り上げによる広報活動などについて言及した。
中沢氏は、導入のメリットとして「一見無駄な会話がきっかけになって仕事のつながりとなったり、経営メッセージの咀嚼につながるなどの広がりがある」ことを指摘。リスクとしては、公序良俗、誹謗中傷、セキュリティなどの問題点をあげ、「セキュリティに関して、ユーザーの自由は阻害してはいけないが、運営側はルールを決めて守らせないといけない」と注意を促した。
ジョンソン・エンド・ジョンソン「ナレッジスタジアム」
ジョンソン・エンド・ジョンソン エチコン事業部マーケティング部 マーケティングコミュニケーションチーム 戸上浩昭氏 |
ジョンソン・エンド・ジョンソンは非IT企業ながら、組織上の課題と営業上の課題を解決するために2001年12月という早い時期から「ナレッジスタジアム」によるナレッジマネジメントに着手している。
エチコン事業部マーケティング部 マーケティングコミュニケーションチーム 戸上浩昭氏によると、特徴は社内SNSには珍しく、あえて完全匿名性であることだという。また、リアルのイベント事とリンクさせた情報発信を意識し、全体の運営管理者がいる仕組みを取っている。仕事に関わるオンに当たる内容を書くための「チームブログ」、全員が持ち回りで受け持つ仕事に関係ないオフの内容を書く「もちまわりエッセイ」、オンとオフが混在する「個人ブログ」が並列してあるのも特徴だ。これはオフの部分で感情の共有と、オンの部分でナレッジの共有の両方を目的として行われている取り組みだという。
日立グループ「ミネルヴァの梟」
日立コンサルティング アナリスト 枝松利幸氏 |
日立コンサルティング アナリスト 枝松利幸氏は、イノベーティブな企業とその共通点について、「解決不能とも思えるような課題を解決し、同時にこれまでは想像すらできなかったことを実現しているか、もしくはそのうちどちらかを定期的に実現している」とした。実例として、日立グループのイントラSNS実証実験「ミネルヴァの梟」をあげた。
同SNSは、人的ネットワークの拡大と知的創発基盤の構築を目的として開始された。開設後1カ月で1,500名以上まで発展し、その後サーバーの負荷を下げるためにユーザー招待を期間限定性(月に2日程度)にしたにも関わらず、ユーザー数は現時点で4,500名に上る。ユーザーの年代構成比の推移として、開設1カ月後は20 - 30代の若者が中心だったが、3カ月後には30代以上の割合が増加、1年後には40代以上の割合が4分の1を超え、日立グループの年齢構成比とほぼ同じになり、同SNSが深く浸透したことを指摘した。
日記やコミュニティがオンとオフにまたがって多く執筆/開設され、大きく分けて多用な情報の流通とさまざまな人との交流の2つの効果があがったという。