暴力や性的表現がオンラインゲームへの風当たり強める

だが、オンラインゲームがもたらす衝撃は、単にビジネスにとどまるものではない。オンラインゲームとは、本質的に「文化の消費」なのだ。先進的なパソコンゲームは、常に生活のリアリティをバーチャルなネット世界に移植する。従って、オンラインゲームには人類の歴史と現実が投影されており、特に外来のオンラインゲームには「異文化の衝撃」が内包されている。

現在中国では日本や韓国のオンラインゲームが流行しているが、これらの国の製品に対し、中国のオンラインゲームにおける表現は、どちらかと言えば保守的である。日韓や米国などのオンラインゲームにおける暴力や性的な要素が、中国の青少年に及ぼす影響については、懸念を表明する専門家が少なくない。中長期的には、このような懸念が、中国政府のオンラインゲームに対する政策に影響を及ぼす可能性も否定できない。

ただ、そうはいってもオンラインゲーム産業は中国の重点育成産業のひとつであり、中国経済の持続的成長に重要な役割を担っている。今後数年間は政府の指導のもとで、それなりの発展を続けることが予想される。

2007年、中国オンラインゲーム業界は上場ラッシュを記録

2008年は、中国人にとって極めて重要な年だ。北京オリンピックの開催が国内の人間だけでなく、世界中の華人を興奮させる。当然、多くのオンラインゲーム企業にとっても、千載一遇のビジネスチャンスである。すでに、「スタークラフト2」「FIFAサッカー Online」「仙剣奇侠伝 Online」など、新製品発売のうわさが飛び交っている。

2007年は、中国のオンラインゲーム市場が飛躍的に拡大した1年だった。北京完美時空網絡技術(以下、完美時空)、金山網遊、網龍、上海巨人網絡科技(以下、巨人網絡)などのオンラインゲーム企業が続々と上場し、業界全体に活力を注ぎ込んだ。こうした株式上場ブームが2008年も続くのかどうか、業界関係者ならずとも、株式売買に奔走する中国人は興味津々で見守っている。

2007年、これらの中でも先陣を切って上場した企業が、完美時空だった。同社の有力タイトル、たとえば「完美世界」「武林外伝」「誅仙」などは、同年それぞれ好調な業績を収めた。同社の上場は幸運や偶然でなく、実力の蓄積によるものと言ってよい。完美時空以外の企業も、旺盛な研究開発努力が金融資本市場に認められた結果、上場という果実につながった。

2007年におけるこれらの企業の一斉上場は、国内のオンラインゲーム市場が一定の規模に達したことを反映している。上場を果たした各社は、今後十分な資金に支えられ、資本運営を合理化し、競合他社とさらなる競争を繰り広げていくだろう。このため、攻勢を掛けられる他の企業も、生存と発展のため、2008年中に上場するチャンスをうかがっている。