プレゼンテーションでは、新しいOKIデータのチャレンジについて多くを伝えた新代表取締役社長・杉本晴重氏。新体制が発足して1カ月、今後の展開や市場動向、さらには同社のブランド戦略についてうかがった。
--新体制が発足されて1カ月が経ちました。まずは、これまでと変わらない部分、そして変わっていく部分について教えてください。
杉本晴重氏:まず変わらない部分で言えば、前社長である前野幹彦が起ち上げ、2003年にスタートした中期経営計画「Stride 21」があります。スタートしてから5期連続増収で、売上げ2000億円も視野に入ってきました。この大きな流れは変わりませんが、さらにもうひとつジャンプさせようというのが新しい目標になります。そのジャンプのひとつが、今までの組織、仕事のやり方を変えていくことです。というのも、急激に会社が大きくなったこともあって、組織が有効に働いていない部分が出てきてしまった。もっと部署同士が有機的に動ければ、さらに収益が期待できるのではないか、ということです。この課題にはすでに昨年度から取り組んでいて、今年度のOKIグループ全体の決算結果でOKIデータが中核を担っていることが分かっています。次にLED技術にこだわったもの作りを推進していくことです。いわゆるオフィス市場だけではなく、高精細・高速で長尺用紙や不織布などの特殊媒体にも強いLED技術を活かしてバーティカル市場(DTP/グラフィック市場)でもメジャープレーヤーになればさらなる成長が期待できます。お客様に高い付加価値を提供することで、収益性も上がり、価格競争に巻き込まれることはないでしょう。
--OKIとの協力体制も、シェア獲得の上で重要になりますね。
杉本晴重氏:まだ具体的な数字までは見えませんが、OKIが得意とする通信分野、例えばIP電話などとOKIデータのプリンタ技術を組み合わせ、サービスや保守業務などのソリューションビジネスを展開することが目標です。実際に、個別のお客様から通信とプリンタを組み合わせた要望が出てきています。OKIとOKIデータ、それぞれの得意分野を合わせれば、お互いに畑の違うお客様に対して通信とプリンタを組み合わせたサービスを提案できます。日本に限らず海外でも、これから主流の営業スタイルになっていくのではないでしょうか。
--LEDプリンタも他社参入が多くなってきました。この傾向をどう見られていますか。
杉本晴重氏:まったく問題ありません。むしろ我々にとっては「Welcome」な状況です。というのも、かつては「LEDって何?」と言葉自体が知られていない時代がありました。しかしこれからは、LED技術じゃないとダメだというドキュメント、アプリケーションが出てくるでしょう。このとき、20年近くLED技術を開発してきた我々の技術とノウハウはそう簡単に抜かれるものではありません。もちろん、今後新技術を開発することを怠ることはありませんし、やっていかないと追いつかれてしまうという覚悟もあります。