学術研究の面でも業績残す開復氏

1998年の後半には、彦宏氏は米国中を走り回り、ベンチャー資金を求めて回っていた。ある投資家は、Infoseekで彦宏氏の上司に当たる人物に、氏の技術力について確認を取った際、「世界でもっとも優れた3人のうちの1人」という回答を得たという。世界トップレベルの検索エンジン技術を武器に、彦宏氏は企業経営に乗り出す決意を固めたのである。

一方の開復氏は、1966年に台湾に生まれ、11歳だった1972年に渡米している。1983年にはコロンビア大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得。続いて1988年にはカーネギー・メロン大学で同博士号を取得し、助教授となった。

開復氏のその後の経歴は、まさに華々しいの一言に尽きる。1990年から96年まで、Appleで音声認識技術開発チームリーダー、マルチメディア開発室長、インタラクティブ・マルチメディア部門Vice Presidentなどを歴任。さらに、SGIのインターネットプロダクト部門Vice President、SGI子会社のCosmoでPresidentに就任。1998年には、Microsoftに入社し、同社グローバル副総裁、Microsoftアジア研究院初代院長なども歴任した。

学術研究に関する業績でも、1988年に音声認識技術でBusiness Week誌の「最も重要な発明賞」を受賞、2000年には米国電気電子学会 (The Institute of Electrical and Electronic Engineers、IEEE)のフェローに選ばれている。また、コンピュータを使って人間の自然なコミュニケーションを実現しようとする技術であるナチュラル・インタラクティブ・システム(Natural Interactive System)でも、世界的に著名な専門家だ。

李彦宏氏と李開復氏の比較

比較項目 李彦宏氏 李開復氏
現職 百度董事長(会長)兼CEO Google中国総裁    
誕生年 1967年 1961年
国籍 中国    台湾、米国
学歴 北京大学図書館情報学学士
ニューヨーク州立大学コンピュータサイエンス学修士          
コロンビア大学コンピュータサイエンス学修士
カーネギー・メロン大学コンピュータサイエンス学博士
職歴 Dow Jones関連企業
Infoseek                                                               
Appleインタラクティブ・マルチメディア部門Vice President
SGI インターネットプロダクト部門Vice President
Microsoft副総裁兼Microsoft亜洲研究院初代院長
得意な技術分野 検索エンジン                     音声認識技術
ナチュラル・インタラクティブ・システム
著書 「硅谷商戦(シリコンバレーのビジネス戦争)」、1998年 「※2最好的自己(ベストの自分を創造しろ)」、2005年

※2は、にんべんに「故」