ともに浙江省出身、創業と経営の経験あり
主にネット起業家として登場してきた80後だが、最近はベンチャー投資家という新たな役割まで演じるようになってきている。もちろん、創業プロセス、プロフィットモデルの構築、技術と製品などに精通していなければ、ベンチャー投資家にはなれない。そのため、ベンチャー投資家には、起業家よりもさらに優れたビジネスセンスと勘、経営ノウハウを持つことが要求される。ベンチャー投資家になろうという場合、80後にとって最も厳しい挑戦となることは言うまでもない。
上海同輝創業投資(以下、同輝創投)のエグゼクティブ・ディレクター(執行董事)の戴寅氏、投資会社藍海創投傘下のベンチャーキャピタルである藍海天使資本のパートナー、陳豪氏らが、80後世代のベンチャーキャピタリストの先駆けとして、厳しい試練に挑んでいる。戴氏と陳氏の2人は、渡口網絡の金津氏と同じく、ともに浙江省出身。企業家の家に生まれ、企業の創業と経営をした経験を持っていることも共通している。
戴氏は大学1年生の時に、カリキュラムが理論一辺倒で、生活が退屈という理由で大学を中退。父の指導の下、不動産投資、有価証券投資などを行い、多額の収益を上げた。2007年夏、一族は数千万元の資金を動員し、同輝創投を設立。戴氏が執行董事に就任し、同輝創投の全活動を統括している。
新しいビジネスモデルを作る自信を誇示
2007年に25才となり、大学卒業後2年目の陳氏は、パートナーとともに6つの企業を立ち上げ、経営に参加している。2007年4月に起業家から投資家へと転身、同じく80後世代の藍海創投CEOの楊沛氏ら数人と、藍海天使資本を設立した。
同社は、浙江省や英国の投資家から募集した3,000万ドル(約32億4,000万円)の資金を持ち、陳氏が責任者としてその運用に当たっている。自らを含む80後世代のベンチャー投資家について、同氏は、「若さとパッションは我々の最大のアドバンテージ。新しい事象やビジネスモデルを受け入れる度量がある。また、若い起業家とのコミュニケーションも取りやすいなど多くの利点がある」と語り、自信を示している。
80後のネット起業家と投資家、そして彼らの創業物語は、その他の80後世代の冒険精神を喚起し、オンラインゲームなど、同世代が最も興味を持っている分野に新風を吹き込み、その発展を促進している。この点からみれば、中国のネット業界の未来を背負っていることは間違いない。中国の"ヒルズ族"ともいえる彼らの動向を、今後も注目していきたい。