格差解消の切り札としての期待も
ブロードバンドの普及により、中国でのインターネット利用シーンも、従来の単純なゲームや映像再生から、生活のさまざまな領域での広範な活用へと変化してきている。ブロードバンドネットワークは家庭の情報化に格好のプラットフォームを提供し、「生活品質の向上」に大きく寄与している。
たとえば、今年爆発的な人気を呼んだ証券・投資市場でも、多くの一般投資家たちはオンライン経由の資産運用を選んだ。統計によれば、現在すでにネットユーザーの約1/5がオンラインバンキングやネットを活用した株式投資を開始している。中国国内でオンラインを中心に活用する投資家の数は、絶対数ではインターネット普及率の高い米国に相当するところまできた。
中国のオンライン投資家たちは、中国電信集団などのブロードバンドネットワークを通じ、気軽に証券取引所のコンピュータシステムにアクセスし、リアルタイムで株価を把握しながら売買のタイミングをうかがうのだ。都市部を中心に、いまや「国民皆投資家」というほどの活況を呈する中国の株式市場は、じつはインターネットなくしては成立し得ないという状況になっている。もちろん、一部の株式アナリストのブログが、異常なほどの人気を集めていることは言うまでもない。
教育や医療の現場でもネット活用は進んでいる。いわゆるe-learningや遠隔地医療が、都市と農村のインフラ格差、発展格差を縮めるものとして注目されている。
さらに最近では、多くのデベロッパーが、ネットワーク設備の充実した「インテリジェント団地」の造成分譲に乗り出しており、その管理機能の基盤となるのが、団地内のブロードバンド設備だ。同設備には、セキュリティシステムから遠隔メーター読み取りシステム、不動産管理費決済システム、火災通報と消防活動を連動させた制御システムなどが含まれている。