Windows Server 2008は何が変わったのか

Windows Server 2008はWindows Server 2003の後継となるサーバ用OSだ。現時点ではリリースは2008年前半といわれている。また、2009年にリリースとされるWindows Server 2008 R2では64ビット版しかリリースされないとも言われており、ハードウェア上も大きな変化の波が訪れると推測される。

一方、現在Windows Server 2003は着々と改良を重ね、SP2となっている。率直な話、メジャーリリースから4年、安定してきてこれで十分なのでは、という考えもあるだろう。

本稿ではWindows Server 2008の全貌を挙げ、何ができるようになるのかをまとめてみたいと思う。なお、本稿は2008年9月現在のBeta 3の情報を元に執筆されている。今後機能の追加、削除、仕様変更の可能性はないとはいえないことをご了承いただきたい。

Windows Server 2008開発の背景

Windows Server 2008はコードネーム"Longhorn"と呼ばれ、Windows 2003の後継OSとして開発されている。そのプラットフォームにはWindows Vistaと同じテクノロジが利用され、開発当初はクライアントに相当する Windows Vistaと同時リリースの声もあったが、その後、新しいファイルシステムの開発の難航などがあり、今に至る。

Windows Server 2003では主にセキュリティの大幅な強化とActive Directoryのブラッシュアップが主な狙いだったが、Microsoftの言うWindows Server 2008のキーポイントは以下の3点となっている

  • 管理機能の充実: サーバの機能向上による管理コストの肥大化を解消するために、管理機能を充実させる。また、遠隔地にあるサーバ管理についてもセキュアな管理機能を持つ
  • 柔軟性の向上: Terminal Serviceの強化やIIS7.0といったプラットフォームの強化
  • 堅牢性の向上: アクセス制御の強化、情報漏洩を防ぐ著作権機能の強化やネットワーク上の自動検疫機能

このようにWindows Server 2008では「システム管理者にやさしいサーバOS」を標榜しているようだが、筆者の見るところWindows Server 2008のハイライトは仮想化技術であると思う。仮想化技術というのは、1台のハードウェアの中のOS上に、仮想的なコンピュータを構築し動作させ、複数のコンピュータの機能を集約しようというものだ。この仮想化により、従来5 - 15%と言われるサーバリソースの使用率を効率的に管理することができるようになると言われている。さらに"Server Core"と呼ばれる「GUIのないWindows Server」を用いることにより、リソースのミニマイズが実現でき、仮想化に拍車がかかることになるだろう。

これらと類似の仮想化技術はすでにLinuxでは"Xen"という形で実装されており、Microsoftでも"Virtual Server"という形で提供されていた。Windows Server 2008ではこれを進化させた形態でのシステムの実現を果たそうとしているようだ。このような「集約の技術」によりハードウェアのコストや運用コスト、管理コストを大幅に削減できる可能性がある。一方では、十分なパフォーマンスが1台のサーバで実現できるか、実現できるとすればどの程度のコスト加算が必要なのかに興味がそそられる。

以降、本稿ではこういった観点も持ちながらWindows Server 2008のさまざまな機能について、現在と比較をしながらまとめていこうと思う。2007年9月の時点で、Windows Server 2008はBeta3が公開されている。このBeta3段階でのシステム要件(32ビット版)は表1の通りとなっている。

Windows Server 2008 Beta3のシステム要件

コンポーネント 最小 推奨 最適
プロセッサ 1GHz 2GHz 3GHz
メモリ(RAM) 512MB 1GB 2GB(フル)
1GB(Server Core)
HDD 8GB 40GB(フル)
10GB(Server Core)
80GB(フル)
40GB(Server Core)
ドライブ DVDドライブ
モニタ SVGA 800x600以上